HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2020年10月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2020年10月中旬号

大阪市で「あしたの健保組合考える大会」
健保組合存続がテーマ
与党議員交えシンポジウム

「あしたの健保組合を考える大会PART5」(健康保険組合連合会大阪連合会主催、健康保険組合連合会共催)が3日、大阪市内のホールで開催され、大阪府内の健保組合関係者を中心に約160人が集まった。大会では、日経新聞上級論説委員の大林尚氏が「全世代型社会保障の光と影」と題した講演を行った後、「健保組合存続のため 今何が必要か?」をテーマにシンポジウムを開き、自民党の長尾敬衆議院議員、公明党の伊佐進一衆議院議員、大林氏、健保連の河本滋史常務理事が討論した。

大林氏は講演で「この10月に再開される全世代型社会保障検討会議の議論に極めて注目しているし、年末の最終報告に、低所得者などに配慮した上で、後期高齢者の窓口負担原則2割の実現を求めたい」と医療保険制度改革の必要性を訴えた。

シンポジウムでは、討論に先立ち河本常務理事が直近の状況を踏まえた健保連の主張を説明。「当面の課題は、医療保険制度改革の推進とコロナ禍で財政的に極めて大きな影響を受けた健保組合への支援が大きな柱だ」とした。

医療保険制度改革の推進について、伊佐氏は「給付と負担の改革は待ったなしだ」と主張。「後期高齢者の窓口負担2割化の原則と例外の線引きをどこにするか、一歩踏み込むような議論をしていきたい」と述べた。

コロナ禍における健保組合への財政支援について長尾氏は、「日本が世界に誇る国民皆保険制度が健保組合をきっかけに瓦解するようなことがあってはならない」と語り、医療保険制度改革に加え、健保組合への財政支援が不可欠と主張した。また、コロナ禍に見舞われている現状を「有事」と捉え、「プライマリーバランスとは別枠での財政支援構築が必要」と述べた。

大林氏は、今後の社会保障改革について「おそらく、10%の税率では消費税はもたない。新政権にはぜひ、もう一度、社会保障と税の一体改革に腰を据えて取り組んでほしい」と要望した。

また、これからの健保組合に求めることとして、伊佐氏は健保組合の高齢者医療への過重な拠出金負担を問題視し、保険者協議会で他の保険者とも議論することが必要と語った。長尾氏は健康増進と重症化予防をポイントに挙げ、特定健診、特定保健指導の一層の推進に期待を寄せた。

討論後、会場から①コロナ禍による健保組合の急激な財政悪化を防ぐため、早急に効果的な支援策を講じるような働きかけ②社会保障制度の維持、健保組合存続のため、消費税率引き上げなど現行の税制度の見直しをいかに進めるべきか─について質疑があった。

①について、長尾氏は「コロナ禍による財政悪化とこれまでの財政悪化について、それぞれ議論が必要」としたうえで、「コロナ禍でこれだけ財政が悪化しているので支援が必要だ、と声を上げていきたい」と応じた。

また、伊佐氏はコロナ禍における国の支援について、「財務省は減収補てんでなく、コロナ対応によるかかり増し経費への支援をする方針だ」と説明し、「コロナ禍で健診を実施できなくて大変だ、など声を寄せてほしい」と語った。

②について大林氏は「厚生年金、健康保険、介護保険の料率の合計がまもなく30%になるが、これは負担の限界だ」として、消費税財源をいかに増やすかを重視。「ポスト社会保障・税一体改革」の必要性を強調した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年