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健保ニュース 2020年10月中旬号

厚労相、行革相、デジタル相が合意
恒久化へ オンライン初診を原則解禁
安全性重視し電話は対象外

田村憲久厚生労働相は9日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するために緊急的な対応として認めている初診も含むオンライン診療について、安全性と信頼性をベースに原則、解禁する方針を表明した。

8日の河野太郎行政改革担当相、平井卓也デジタル改革担当相との申し合わせで合意した内容で、国民の安全性を重視する観点から映像がある情報通信機器を原則とし、電話によるオンライン初診は対象外とすることとした。

国民が待ち望む利便性を向上させる観点から、正常時に戻った際の恒久化を視野に、情報通信機器を用いたオンライン初診を新たな診療体制の1つの形態として位置づける。

田村厚労相は、オンライン初診の安全性と信頼性を確保するため、対象とする疾患や診療行為などについて専門家の意見を聴取しつつ、3大臣の間で制度設計の詳細を早急につめていくとの考えを示した。

オンライン診療は、平成30年度の診療報酬改定で導入したが、「6月の間は毎月同一の医師により対面診療」などの厳格な算定要件が設定された。令和2年度改定では、対面診療の期間を「3月」に緩和したほか、対象疾患に慢性頭痛を追加するなどの見直しを行った。

4月からこの枠組みで運用する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の感染者数が拡大してきたことを踏まえ、厚労省は4月10日に、院内感染を防止する観点からオンライン診療の初診対面原則を緩和し、現行の情報通信機器に加え、電話を用いたオンライン初診を特例的な措置として容認した。

特例措置は、新型コロナウイルス感染症の感染が収束するまでの間とし、3か月ごとに感染拡大の状況や医療機関における対応の実用性と実効性確保・医療安全などの観点から検証を行うこととされた。

検証は、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で実施され、8月6日の会合では、電話によるオンライン診療が適さない疾患がある等の問題が提起されていた。

他方で、初診を含むオンライン診療については、菅義偉首相の強い意向のもと、政府として恒久化の検討を進めている。9月23日にデジタル改革関係閣僚会議、10月6日に経済財政諮問会議、7日に規制改革推進会議が開催され、いずれもオンライン診療における特例措置の恒久化が検討事項に掲げられた。

今回、3大臣が合意した初診も含むオンライン診療の原則解禁は、恒久化に向け極めて加速度的に決着が図られた格好となり、今後、新たな診療形態の具体的な制度設計について検討が進められることとなる。

ワンクラウド化の推進で基金業務を最大限効率化

このほか、田村厚労相は、社会保険診療報酬支払基金におけるシステムのワンクラウド化による業務の最大限の効率化と、国保総合システムの刷新・標準化の検討について、3大臣で合意したことを明らかにした。

支払基金におけるシステムのワンクラウド化は、令和3年9月の審査支払新システムの稼働に合わせ、他の都道府県でも審査事務が可能になる機能や審査委員と職員間で同時にレセプトを閲覧できる機能を構築し、改修経費やランニング経費の削減を図る。

9日の閣議後記者会見で「支払基金にしっかりとメスを入れていきたい」と言及した河野行政改革担当相からの強い要望で、田村厚労相は、「厚労省としてもしっかり対応していく」とした。

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