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健保ニュース 2020年8月合併号

健保連・新型コロナの影響調査
組合財政が急激に悪化
実質保険料率が10%超に

健保連はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、急激な財政悪化が見込まれる健保組合の財政状況をまとめ、健保組合に報告した。それによると、令和2年度当初予算時に比べ、平均標準報酬月額で4.0%減、平均標準賞与額で12.9%減となり、保険料収入は4.8%減少することが判明した。金額にして約4000億円の減少となり、単年度収支を均衡させるための実質保険料率は2年度当初予算時の9.58%から10.08%と協会けんぽの平均保険料率を上回り、健保組合の解散を誘発しかねない結果となった。依然として新型コロナウイルスの感染は収束せず、経済の先行きに対する警戒感も払拭できないなか、今後の感染状況によっては財政にさらなる悪影響を及ぼす可能性がある。

この調査は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による健保組合の収入面の財政影響を把握することを目的に、健保組合総加入者数の約4分の1を占め、今後の財政運営に大きな影響が見込まれる151組合を対象に実施した。法定給付費、拠出金などの支出額は、2年度当初予算時のデータを使用し推計した。

その結果をもとに、全健保組合(1389組合)の財政影響を試算した結果、平均標準報酬月額は36万2410円と2年度当初予算時の37万7448円に比べ1万5038円(▲4.0%)減少した。平均標準賞与額は97万8772円で、2年度当初予算時の112万3167円に比べ14万4395円(▲12.9%)と大きく落ち込んだ。前年度予算と比較しても、元年度の平均標準報酬月額(37万5954円)より1万3544円(▲3.6%)減少し、平均標準賞与額も元年度(112万8922円)から15万150円(▲13.3%)減少している。

平均標準報酬月額と平均標準賞与額の減少を受け、全健保組合の保険料収入総額は7兆8211億円と、2年度当初予算時の8兆2203億円に比べ3992億円(▲4.8%)減少した。これを受けて実質保険料を試算したところ、2年度当初予算時の9.58%から10.08%と、協会けんぽの全国平均保険料率を上回る結果となった。10%を超える健保組合は669組合と、全健保組合の半数近くを占めた。

今回の調査結果を業態別にみると、標準報酬月額で減少率が大きかったのは、「教育・学習支援業」(▲15.0%)、「宿泊業、飲食サービス業」(▲7.2%)、「卸売業」(▲6.7%)となっている。標準賞与額で減少率が大きかったのは、「宿泊業、飲食サービス業」(▲54.0%)、「その他のサービス業」(▲36.7%)、「教育・学習支援業」(▲35.0%)となっている。

リーマンショックに匹敵する落ち込み

平成20年に発生したリーマンショック前後の19年度と21年度を比較すると、平均標準報酬月額は2.0%減、平均標準賞与額は15.2%減となっており、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、リーマンショックに匹敵する落ち込みといえる。今後の感染状況により経済が低迷することになると、さらに標準報酬月額や標準賞与額が減少することも見込まれるため、今後の組合財政への影響や解散組合の増加が懸念される。

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