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健康保険の基礎知識

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第6回
禁煙で、カラダもお財布も健康に!第6回 禁煙で、カラダもお財布も健康に!

喫煙が健康に及ぼす悪影響については、多くの研究結果がニュースやメディアを通じて、私たちにも伝わってくるようになりました。喫煙者に、がん、心臓病、脳卒中、肺気腫、歯周病など、特定の重要な疾病にかかる割合が高いことは、多くの疫学研究により指摘されています。さらに近年、喫煙がメタボリックシンドロームや糖尿病の発症リスクを高め、動脈硬化を助長させ、心筋梗塞・狭心症等の虚血性心疾患や脳卒中をひき起こしやすくなることもわかってきています。

また、タバコの煙による健康への悪影響は、喫煙者本人にとどまりません。他人のタバコの煙を吸わされる受動喫煙によって、健康への悪影響が生じることも問題となっています。

これだけ健康に重要な影響を及ぼす喫煙ですから、日本でも近年禁煙に関する取り組みは活発化しており、下図のように、喫煙率は減少傾向にあります。

全国喫煙者率(2009年~2015年 JT発表)のグラフ

この喫煙者率をもとに全国の喫煙人口を推定すると、およそ2000万人が喫煙者ということになります。もしかすると、喫煙者人口はまだ多いのかもしれません。

全国喫煙人口(推計値)(2009年~2015年 JT発表)のグラフ

厚生労働省の調査によると、喫煙者の約4分の1は禁煙を考えていることがわかっています。禁煙で得られるメリットは多く、さまざまな疾病や死亡リスクが減少するなどの健康面のメリットや、肌への影響等の美容面のメリットなどがありますが、今回は、お金と医療費に着目してみましょう。

まず1日に1箱(20本、450円と仮定)のタバコを吸っていった人が禁煙すると、タバコ代だけで年間16万4250円もの節約ができます。10年間では160万円以上、30年間で500万円近くの節約になります。この金額を貯金に回していたらと考えるとゾッとする金額ですよね。

1日に1箱(20本、450円と仮定)のタバコを吸っていた人が禁煙すると、タバコ代だけで年間16万4250円もの節約ができます。10年間では160万円以上、30年間で500万円近くの節約になります。

次に医療費をみてみます。喫煙は健康に悪影響を及ぼし、多くの疾患リスクが高まるため、治療に要する医療費が非喫煙者よりも余分にかかることがわかっています。実際に、医療費と喫煙習慣との関連を調査した結果をみると、禁煙した期間が長ければ長いほど年間医療費は減少しています。禁煙5年未満の人の医療費と禁煙10年以上の人の医療費の差は、じつに8万1800円にもなります。医療費+タバコ代を節約できたら……と考えると禁煙の金銭的なメリットは大きいと言えます。

喫煙した人の年間医療費のグラフ

「禁煙したいけどなかなかやめられない」「意思は固かったのに挫折した」なんて方も多くいると思います。タバコをやめられないのは、意志の弱さではなく、ニコチンのもつ強い依存性が原因と言われています。このような喫煙習慣を「ニコチン依存症」といい、治療が必要な「病気」とされています。喫煙者の約70%は治療が必要な「ニコチン依存症」に該当すると見込まれています。

2006年からは、医療機関での禁煙治療に保険が適用されることになり、これまでより禁煙にかかる医療費の負担が軽くなりました。自分の力だけで禁煙することは難しくても、お医者さんと一緒に取り組めば、あなたに合った方法で禁煙治療が受けられるため、禁煙の成功率が高まります。

ただし、保険が適用されるためには、下表の条件をすべて満たし、禁煙治療対象者となる必要があります。

禁煙治療を健康保険で受ける条件は、ニコチン依存症を判定するテスト(TDS)で5点以上。(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上。1か月以内に喫煙を始めたいと思っている。喫煙治療を受けることに文章で同意(サインなど)があります。 ※禁煙治療に健康保険等を使えない医療機関もあります。健康保険等よる禁煙治療を希望される場合は、医療機関検索で該当機関を検索していただくか、事前に医療機関にお問い合わせください。また、過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある方の場合、前回の治療の初回診察日から1年を経過しないと、自由診療となります。

禁煙はメリットだらけで、周囲もお医者さんも、きっとあなたの禁煙を応援してくれるはずです。自身や家族の健康のためにも、そしてお金のためにもぜひ禁煙にチャレンジしてみませんか。