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健康保険の基礎知識

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第5回
医療費削減のために!大切なお薬の話第5回 医療費削減のために!大切な薬のお話

増え続ける日本の医療費。この医療費の伸びを抑制していくことを考えるとき、お薬の話は避けて通れません。現在、日本の薬剤費は国民医療費全体の約2割を占めています。

国民医療費と薬剤費の推移のグラフ。

医療技術の進歩により、高額なお薬も出てきていて、今後ますます薬剤費が増えていくことが見込まれます。この増え続ける薬剤費を抑制する方法として、第4回の基礎知識でジェネリック医薬品の活用を紹介しました。

ジェネリック医薬品は、特許期間が切れた新薬と同じ有効成分で作られ、効き目や安全性は国が厳しく審査・承認しているので、安心です。また、医療費削減に大きく貢献でき、さらに自身の出費を抑えることができるメリットがあります。現在のジェネリック医薬品は高血圧や高脂血症、糖尿病などさまざまな病気・症状に対応しています。またカプセル、錠剤、点眼剤など形態も豊富ですので、ぜひかかりつけの医師や薬剤師さんに相談してみてください。

また、薬剤費の増加の要因の1つとして問題視されている「残薬問題」も知っておきましょう。本来飲むべきだったものを、飲み忘れたり、病院を受診する間隔が薬の処方日数と重なったりなどの理由で余らせてしまったお薬を、「残薬」と呼びます。薬を飲まなかったせいで症状が改善せず、医師がさらに多くの薬を処方して残薬が増えるという、悪循環に陥るケースも見受けられます。厚生労働省の調査(平成25年度)では、残薬を有する患者さんがいた薬局は約9割、お薬が余った経験を聞かれて「ある」と答えた患者さんは約5割に上るという結果が出ています。

残薬の実態調査のグラフ。

日本薬剤師会の調査によると、在宅の75歳以上でみても、残薬の総額は年間およそ475億円に上ると推計されています。専門家の分析では1,000億円以上の残薬があるとも言われています。

75歳以上の在宅高齢者の残薬の総額は年間およそ475億円、日本全体では1,000億円以上にもなってしまうという医療費に苦しむ人たちのイラスト

この残薬問題は国としてもさまざまな対策や取り組みをはじめていますが、1人の患者としても積極的にできることをやっていきましょう。自宅にある余ったお薬をかかりつけ薬局に持っていき、薬剤師さんにお薬の整理を相談したり、お薬手帳をきちんと活用したりすることでもかまいません。一人ひとりの残薬を解消して、自身の医療費を安くするだけでなく、医療費削減に大きく貢献しましょう。