健保ニュース
健保ニュース 2026年4月上旬号
出産の給付体系見直し
佐野会長代理 保険者の財政負担にも配慮を
医療保険部会
厚生労働省は3月19日の社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭東京大大学院教授)に、標準的な出産にかかる給付体系見直しなどを柱とする健康保険法等改正案の概要を報告した。健保連の佐野雅宏会長代理は妊産婦の経済的な負担軽減を重視する一方で、「現役世代の保険料負担上昇の抑制も必要であり、保険者の財政負担にも配慮してほしい」と訴えた。
健保法等改正案は持続可能な医療保険制度の実現に向け、必要な保険給付の適切な実施や、負担の公平性の確保を図るため、OTC類似薬の薬剤費の4分の1を患者負担とする「一部保険外療養」の創設や、標準的な出産費用に係る基本単価の設定と現金給付導入などの見直しなどを盛り込んだ。
また、厚労省は「改正事項について、わかりやすい広報に取り組みたい」として、制度改革のポイントなどを説明する広報資料を作成したことも報告した。同省のホームページには、ショート動画も掲載している。
佐野会長代理はOTC類似薬の薬剤自己負担の見直しについて、医療用医薬品の給付を受ける患者とOTC医薬品で対応している患者との公平性や、現役世代を中心とする保険料負担の上昇抑制の観点から、着実な施行を要望した。
出産に係る新たな給付体系の導入時期については、施設の一定の移行期間はやむを得ないとしながらも、「医療機関ごとに対応が異なると、地域によっては妊婦の不利益、不公平になるほか、保険者の事務負担増加にもつながる」と指摘。期限を区切り、速やかに移行できる仕組みにするよう求めた。
新たな給付への移行に関しては、「一斉スタートを強く要望する」(島弘志委員・日本病院会副会長)、「施設の事情はあるだろうが、新たな給付体系を原則にすべき」(前葉泰幸委員・全国市長会相談役・社会文教委員・津市長)、といった意見があった。
袖井孝子委員(高齢社会をよくする女性の会理事)は後期高齢者医療制度のみを対象に金融所得を負担に反映するのは、「納得がいかない」と述べ、「いつから国保や被用者保険に拡大するか示すべきだ」と主張した。
城守国斗委員(日本医師会常任理事)は患者の自己判断でOTC医薬品を使用することを懸念し、対象薬剤の範囲などを「丁寧に検討すべき」と述べた。
また、患者の負担増につながることから、国民が納得できるよう、見直しの背景などについて十分な説明が必要だとした。
出産の給付体系見直しに関しては、「見直し後も地域の周産期医療を担う一次施設が運営を継続できることが極めて重要だ」と指摘し、地域の産科医療体制の確保の観点からも、十分な給付水準を確保するよう求めた。
田辺部会長が退任表明
部会長代理に野口氏
この日の会議の終わりには、令和3年2月から部会長を務める田辺氏が退任を表明し、委員や事務局に謝意を示した。
田辺氏は今後の医療保険制度の展望について、「国民の急激な負担の変化はできるだけ避けたい一方、変化を一切無視し、取り組まないと、医療保険の持続可能性(の確保)が難しくなることも間違いない」と指摘。両者のバランスを取り、国民の納得を得られるよう、「様々な角度から知恵を出し合って、時期ごとの課題に対応してほしい」と語った。
また、田辺部会長は会議の冒頭、部会長代理に早稲田大教授の野口晴子氏を指名した。
野口氏は「重要課題が山積する中、医療経済学の立場から、医療の持続可能性を見据えた有益な議論に貢献したい」とあいさつした。