健保ニュース
健保ニュース 2026年3月下旬号
高齢者の医療費窓口負担
間保険局長、経済対策踏まえ検討
全国高齢者医療・国保主管課長会議
厚生労働省は11日、全国高齢者医療・国民健康保険主管課長会議を開き、令和8年度予算案に基づく保険局関連の主要施策を説明した。
冒頭にあいさつした間隆一郎保険局長は、医療保険制度の持続可能性を確保するため「給付と負担のあり方を見直し、能力に応じた負担を進めることが不可欠だ」とし、高齢者の窓口負担について、政府が昨年11月に閣議決定した総合経済対策を踏まえ、「年齢によらない真に公平な応能負担の実現に向け、必要な保障が欠けることがないよう十分配慮しながら検討する」と述べた。
国保課の説明では、平成30年度改革における国保運営の都道府県単位化などの趣旨を徹底するため、都道府県と市町村の役割分担のもと、①国保改革の推進②保険料水準の統一のさらなる推進など③医療費適正化などのさらなる推進④自治体の事務負担軽減──の取り組みを進めるよう求めた。
①は持続的な財政運営、応能負担の強化などの観点から、子育て世帯の保険料負担軽減や国保組合に対する国庫補助率の見直しなどの検討を進めるとした。
②については、国は令和12年度までに納付金ベースの保険料水準統一(各市町村の納付金に各市町村の医療費水準を反映させない)、15年度までに完全統一(同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料)を目指している。
8年度は都道府県が6年度に策定した国保運営方針の中間見直しの作業年度であり、国が「加速化プラン」(6年6月)に都道府県内の保険料水準の完全統一の目標年度(18年度保険料)を提示後、初めて同方針を見直す大きな機会になると指摘。完全統一の目標年度まで定める都道府県が増え、達成していくことに期待感を示し、国も必要な支援を講じるとした。
また、一般会計からの法定外繰り入れについて、解消が進んでいない都道府県が固定化する傾向が見られるとし、引き続き早期の解消に努めるよう呼びかけた。
③は第3期データヘルス計画や第4期特定健診等実施計画、後発医薬品に関する新目標(2029年度)の動きを踏まえ、保険者努力支援制度で成果指標の拡大、配点の重点化といった取り組み評価分のメリハリを強化するなど、自治体の予防・健康づくりの取り組みを後押ししており、今後も必要な見直しを行うとした。
④では現状について、自治体の人材不足が深刻化する一方、事務負担が増大し、役割も複雑多様化する中、国保でも各市町村での住民サービスに大きな差異が生じないよう、事務の標準化や広域化、効率化で住民サービスを向上させつつ、均てん化することが重要だと説明した。その上で、市町村事務の共同実施を進めるなど、市町村の事務負担の軽減、国保事務の合理化・効率化を図るよう求めた。
高齢者医療課は、後期高齢者医療制度で先行導入する保険料・窓口負担への金融所得の反映や、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施などを説明した。〈間保険局長の発言要旨は次の通り。〉
本日は両制度の現状や課題、令和8年度に予定している事項などを説明させていただく。詳細は担当課から説明するが、私からは要点を申し上げる。
■医療保険制度全体
現在、日本の国民医療費は約48兆円に達している。近年、国民所得に対する比率は安定的に推移しているが、団塊世代が後期高齢者になるなど高齢化や医療の高度化が進み、今後もその増加が見込まれる。
一方、それを支える現役世代の人口が急減する中、健康寿命の延伸を図るとともに、現役世代の負担上昇の抑制を図るため、給付と負担のバランスを確保し、全ての世代が能力に応じて社会保障制度を公平に支え合う仕組み、全世代型の社会保障を構築することが重要なため、不断の見直しを進める必要がある。
こうした中、医療の高度化などに対応しつつ、持続可能な医療保険制度を実現するため、今般の制度改革では、必要な受診を確保した上で、日常的な医療に用いるOTC類似薬を含む薬剤自己負担を見直す。また、高額かつ長期な医療が必要な患者へのセーフティーネット機能の維持強化を目指し、高額療養費制度を見直す。妊娠・出産への支援も強化することとしており、見直しの趣旨を丁寧に説明していきたい。
■国民健康保険
この10年で国民健康保険の被保険者数は約1000万人減少した。3000人未満の小規模保険者は3割を超えている。
また、被用者保険の適用拡大や子ども施策の充実、医療DX推進など新たな課題への対応が求められる中、国民皆保険制度の一番の基盤である国保制度の安定的な運営に努めていく必要がある。
今般の医療保険制度改革では、持続的な財政運営、負担能力に応じた負担などの観点から、先ほど申し上げた事項に加え、未就学児を対象としている子どもに係る均等割保険料の軽減措置の高校生年代までの拡充、財政安定化基金の使途の拡充、国保組合への例外的な国庫補助率の適用などの内容を盛り込む。
また、市町村は一般行政職員、保健師を含めた人材不足が深刻化している。その中で自治体の事務負担軽減や、我が国に在留する外国人に適切に保険料を納付してもらう取り組みなども進める。
8年度は都道府県国民健康保険運営方針の見直しの作業年度にあたる大変重要な年になる。保険料水準の完全統一に向けた都道府県内の議論、準備を含め、より良い制度運営が行われるよう引き続きご尽力をお願い申し上げる。
■高齢者医療制度
急激な人口減少、少子高齢化が進む中、制度の持続可能性を確保するためには、給付と負担のあり方を見直し、能力に応じた負担を進めることが不可欠だ。
こうした中、金融所得の窓口負担割合や保険料への公平な反映が課題の一つになっている。昨年、関係省庁で実務的な検討を行った上で、医療保険部会で議論し、まずは後期高齢者医療制度において反映することとしており、現在、法改正に向けた準備を進めている。
また、8年度は昨年11月に閣議決定された総合経済対策を踏まえ、 医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な応能負担の実現に向け、必要な保障が欠けることがないよう十分配慮しながら、高齢者の窓口負担のあり方を検討する。
■高齢者の保健事業
高齢者の保健事業は、国保の保健事業からの接続やフレイル状態に着目した疾病予防の取り組みが必要なため、介護予防事業との一体的実施を推進しており、ほぼ全ての市町村で取り組んでいる。一体的実施は取り組みの質の向上と量の増加を進める段階にある。各事業の成果を検証し、効果の高い事業を展開するとともに、できる限り長く在宅で自立した生活を送る高齢者を増やすことが重要だ。
また、8年度は高齢者保健事業の実施計画、データヘルス計画の中間評価が予定されている。関係機関などが連携して、事業の評価、見直しを行い、取り組みをより一層充実するようお願い申し上げる。
■マイナ保険証
昨年12月、従来の健康保険証は全て有効期限を迎え、 以降はマイナ保険証か資格確認書を利用して医療機関を受診することになった。昨年12月のレセプト件数をベースにした利用率は63.24%となっている。この間の皆様のご協力に感謝を申し上げる。
マイナ保険証は医療DXの基盤として、健康・医療情報に基づいたより良い医療提供を可能にするものだ。スマートフォンをマイナ保険証として利用可能な医療機関なども拡大しており、利便性も向上している。こうしたメリットに加え、マイナ保険証が利用できなかった場合も含めた受診方法などについて、今後も丁寧に周知する。
マイナ保険証で円滑に医療機関を受診できたという利用体験が国民に広がるよう、取り組みを着実に進めていくので、引き続き保険者の皆様のご協力をお願い申し上げる。
■子ども・子育て支援金
今年の4月から子ども・子育て支援金制度が開始される。すでに関係者の皆様には施行に向けてご協力をいただいていることに感謝申し上げるとともに、引き続き円滑な施行に向けてご協力をお願い申し上げる。
■結語
関係者全てが不断の取り組みを続けることによって、世界に誇る我が国の国民皆保険制度を堅持し、次の世代に引き継いでいくことが私たちの責務ではないか。今後とも、国保制度、高齢者医療制度の円滑な運営のため、皆様と力を合わせて取り組んでいくので、よろしくお願い申し上げる。