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健保ニュース 2026年3月上旬号

宮永会長 国民会議議論に期待
持続可能な社会保障制度を
「万人に平等で温かい」皆保険継承も
健保連総会

健保連は2月20日、第225回総会を開き、令和8年度の事業計画や予算などを審議した。冒頭にあいさつした宮永俊一会長は、社会保障と税の一体改革を議論する超党派の「国民会議」の設置に触れ、能力に応じた負担の強化などを含め「国民が真に納得して負担し、支え合える持続可能な社会保障制度の実現」を訴えた。また、「万人に平等で温かい日本の国民皆保険制度が、将来にわたって引き継がれるよう検討」することに期待を込めた。政府が同日、国会に提出した8年度予算案については、「現役世代の負担を軽減するには、まだまだ十分な内容とは言えない」との見解を示した。〈宮永会長の発言要旨は次の通り。〉




政府予算案 負担軽減に不十分

総会の開会にあたり、一言あいさつを申し上げる。議員の皆様には大変お忙しいところ、お集まりいただき、感謝申し上げる。また、2月に入ってから、記録的な豪雪により被害や影響を受けられた皆様には、心よりお見舞い申し上げる。

本日は来賓として、公務ご多忙の中、仁木博文厚生労働副大臣にご臨席いただいている。後ほどごあいさつをいただくことになっているので、よろしくお願い申し上げる。

海外の状況を見ると、ロシア・ウクライナや中東の情勢、ベネズエラなどでの出来事、グリーンランドの問題や台湾周辺の状況など様々なことが起きている。

国際協調や法の支配といった、20世紀後半から築かれて安定していた欧米主体の国際秩序が大きく変わっていくことは確かで、政治や経済、エネルギー資源や安全保障といった様々なリスクへの懸念が各国で深まり、自らの力に頼る部分が増すとともに、新しい形の国際協力などを模索していく時代になってきた。

そのような中、現在、イタリアでミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開催されている。日本をはじめ世界各国の選手が一堂に集い、スポーツマンシップと挑戦心に満ちた素晴らしい競技を展開し、人々に感動と共感を与えている。

20世紀の終わり頃に採用された比較的新しい競技種目であるスノーボードでは、日本の選手が大活躍しているが、この競技ではメダルの色や勝敗以上に、「誰が一番クリエイティブで、誰が一番果敢な挑戦をしたか」を重視する価値観があると聞く。

これも新時代のスポーツのあり方を示すものかもしれない。たとえ成功しなくても、その果敢なチャレンジ自体に対し、最大の敬意を表し、仲間同士で励まし合うことに、これからの世界への希望をも見いだす。「平和の祭典」と呼ばれるオリンピックが混迷する世界情勢の中で、互いの立場を尊重し合い、協調する心の大切さを再認識させる場となることを心より願っている。

一方で、国内の情勢に目を転じると、昨年秋に発足した高市政権は非常に高い支持率のもとで、2月8日に衆院選を行い、ご承知のように(自民党が)圧勝し、政権の基盤を固めた。高市内閣が掲げた「責任ある積極財政」や「強い経済の実現」に向けた姿勢や政策が評価されたものだと思う。今回の衆院選で、私たちに理解のある多くの議員が当選されたことも心強い。

選挙後に日経平均株価は最高値をさらに更新し、6万円をうかがう高い水準となっている。また、政治的な不透明感の後退で、円買いにつながり、極度の円安に基づく昨年来の物価高や長期金利の上昇が落ち着く兆しを見せている。

さらに、日本経済の持続的な躍動に何よりも必要な、実質賃金の上昇に大きな影響を与える春闘の議論が始まっている。賃上げのモメンタム(勢い)は定着しつつあるが、ここ数年続いている5%を超える賃上げが継続し、中小企業も含め幅広い分野でインフレを上回る賃上げが続くことを願う。

今後は、国と交付方法などの協議を進めることになるが、極めて厳しい状況が続くことに変わりなく、財政が厳しい組合にきちんと手当てされるよう、しっかりと求めていきたい。

選挙期間中も日本の社会経済を支える現役世代の負担の軽減がクローズアップされたが、高市首相は与野党の垣根を越えて、社会保障と税の一体改革を議論する「国民会議」を新たに設置する方針を表明している。

人口減少が進む中、将来世代に過度な負担を強いるのではなく、能力に応じた負担の促進なども含め国民が真に納得して負担し、支え合える持続可能な社会保障制度の実現と、万人に平等で温かい日本の国民皆保険制度が、将来にわたって引き継がれるよう検討が進み、各種取り組みが進んでいくことを期待する。

昨年後半は2年に1度の診療報酬改定や医療保険制度改革などの議論が活発に行われ、年末にはこれらを踏まえた政府予算案が閣議決定された。

新たな連立与党体制での初めての予算案の策定だったが、昨年の通常国会で先送りとなった高額療養費制度の見直しが行われるとともに、OTC類似薬に対して患者負担の新たな仕組みが創設されるなど、膨張し続ける医療費の伸びを抑制する仕組みが盛り込まれた。

しかし、すでに限界に達している現役世代の負担を軽減するには、まだまだ十分な内容とは言えない。引き続き今後の状況をよく見極めていかなければならない。

高額医療交付金事業への200億円の追加支援を評価

協会けんぽの平均保険料率が0.1%引き下げられ、9.9%となることが決定した。中小企業が加入する総合健保を中心に、事業運営への大きな影響が懸念される中で、私たち健保組合が強く主張した結果、財政基盤が厳しい健保組合のために、健保連の高額医療交付金事業に200億円の財政支援が追加されたことは評価できる。

今後、国と交付方法などの協議を進めるが、健保組合にとって厳しい状況が続くことは変わらないため、きちんと手当されるようしっかりと求めていく。

昨年12月2日から、これまでの保険証が廃止となり、マイナ保険証を基本とする仕組みに完全移行した。これまでの間、健保組合の皆様には、マイナ保険証の利用促進に向けた様々な対策に精力的に取り組んでいただき、改めてお礼申し上げる。

これからは、マイナ保険証の利用が医療DXの基盤となる。救急時の対応やスマートフォンでの利用などが始まっているが、今後さらなる医療分野での活用が進むことで、効果的で適正な医療の提供、さらには健康増進に役立つことを期待している。引き続き、マイナ保険証の利用促進や定着にご協力いただくようお願い申し上げる。

「提言」の取り組み定着で活力ある社会づくりに貢献

私たち健保連としても、昨年9月に「『ポスト2025』健康保険組合の提言」を公表した。日本の素晴らしい医療保険制度を将来にわたって引き継いでいくためには、様々なステークホルダーの方々にご理解いただくとともに、それぞれの立場で取り組んでいただくことが必要だ。

そのため、健保組合の皆様のご協力をいただき、まずは加入者・国民への「3つのお願い」の周知活動を進めてきた。本年はすでに多くの健保組合が取り組みを進めようとしている「4つの約束」、そして新たに、健保組合が時代の変化にしっかりと対応していくことを目指す「5つのチャレンジ」に、それぞれの健保組合の状況や特性を生かして事業を展開していただきたい。

厳しい事業環境にある今こそ、これまで私たち健保組合が取り組んできたことをさらに発展させて、健保組合の持つ価値をより高め、加入者に実感していただくことが重要だ。

また、健保連では各健保組合の取り組みを支えるサポートプランを作成し、丁寧に支援することとしている。これまでも健保組合は事業主とともに、加入者の特性に応じたきめ細やかな保健事業を効果的・効率的に展開してきた。健康づくり・疾病予防などに取り組み、世界一の健康寿命の延伸につなげ、加入者の充実した生活のサポートと企業の発展に貢献してきた。

今回の提言に掲げた取り組みが定着していくことで、健康で活力ある日本の社会をつくることに貢献できると私は信じている。改めて健保組合の皆様のご協力をお願い申し上げる。

これから2025年問題がピークオフする2040年までの10年余りの期間には、取り組むべき様々な課題や障害が出てくる。

長い挑戦の年月となるが、事業主と連携して加入者のために尽くすという健保組合の原点に立ち返り、これからの社会の変化に対して、積み重ねてきた経験にさらなる改善を加え、代々の人々が共に助け合う強い意志をもって対処することで、必ず私たちが誇る皆保険制度が守られていくと信じている。

本日は令和8年度の事業計画や予算案を中心に審議いただく。議員各位の活発な審議をお願いして、私のあいさつとさせていただく。

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