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健保ニュース 2025年6月下旬号

7年版・高齢社会白書
安定的収入へ 多様化応じた就労促進

政府は10日、令和7年版「高齢社会白書」を閣議決定した。収入を伴う仕事をしている高齢者の増加に伴い、就業ニーズが多様化している実態を踏まえ、マッチングによる就労促進で安定的な収入を確保する必要があると提言した。

白書は平成7年に制定された「高齢社会対策基本法」に基づき、政府が毎年国会に提出することが義務づけられている。今回は「高齢者の経済生活」をテーマに取り上げ、高齢化の状況や高齢期の暮らしの動向などを踏まえ、高齢者の就労を促す方策を考察している。

高齢化の状況をみると、日本の総人口1億2380万人(6年10月1日時点)のうち65歳以上の人口の割合は29.3%で、過去最高を更新した。

男女別では、65歳以上の男性は1572万人、女性は2053万人。65歳以上の男性のうち65~74歳は741万人、75歳以上は830万人で、女性は65~74歳が805万人、75歳以上が1247万人だった。

一方、15~64歳の生産年齢人口は、30年前の平成7年の8716万人をピークに減少の一途をたどり、昨年は7373万人と総人口の6割を割り込んだ。

また、高齢期の暮らしの動向をみると、一人暮らしの高齢者が高齢者人口に占める割合は、男性15.0%(前年度比1.7ポイント増)、女性22.1%(同1.0ポイント増)で、いずれも増加した。

特集では、内閣府が昨年、全国の60歳以上の4000人を対象に実施した調査結果を紹介している。

65歳以上の就業者数は946万人で、65歳以上人口に占める就業者の割合は13.6%と過去最高を更新した。年齢階層別では、65~69歳が54.9%、70~74歳が35.6%、75歳以上が12.2%で、いずれの年齢層でも上昇傾向にある。

現在収入のある仕事をしている60歳以上のうち、「70~80歳くらいまで」と回答した人は全体の39.0%と4割弱を占め、「働けるうちはいつまでも働きたい」を合わせると、6割の人が高齢期においても高い就業意欲を示している。

仕事をする理由(複数回答)は「収入のため」が55.1%と最も多かったが、仕事を決めた理由(同)は給与の希望にかなっているかどうかではなく、「自分の経験やスキルが生かせる」(41.5%)や「自宅から通いやすい」(33.7%)などが多く、就業ニーズの多様化がうかがえる。

白書はこうした多様化に対応するため、ニーズを踏まえた細やかなマッチングを推進する必要があると指摘した。

また、経済的な不安(複数回答)として「物価の上昇」を挙げた人が74.5%に上る一方、現在の暮らし向きは、「家計にゆとりがあり、心配なく暮らしている」(14.8%)と「それほど心配なく暮らしている」(51.1%)を合わせると65.9%(前回調査比8.2ポイント減)だった。

7割弱が心配なく暮らせている状況であったことから、今後も高齢期における就業促進による収入の安定的な確保と、将来に備えた若年期からの資産形成が重要とした。

老後の備えをみると、生命保険などの民間保険に未加入の人は17.2%(同19ポイント減)と2割を切り、高齢期のリスクに応じた備えが全体的に進展した。

一方、財産管理の備えをする人が7.8%と低いことから、認知機能の低下による財産管理の必要性に関する認識を高めていくことや、地域で必要に応じた金銭管理や意思決定支援などの日常生活の支援体制の構築を提唱した。

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