健保ニュース
健保ニュース 2025年6月下旬号
令和6年人口動態統計
出生率最低1.15 出生数、初の70万人割れ
厚生労働省は4日、令和6年人口動態統計(概数)を公表した。日本人の出生数は、前年比4万1227人減の68万6061人で、調査を開始した明治32年以降、初めて70万人を下回った。9年連続で過去最少を更新した。
1人の女性が生涯に産む子どもの推定数を表す合計特殊出生率は0.05ポイント減の1.15で、調査開始の昭和22年以降、過去最低となった。
都道府県別にみると、沖縄県が1.54、福井県が1.46、鳥取、島根両県が1.43と高い一方、東京都が0.96、宮城県が1.00、北海道が1.01と低く、西高東低の傾向にある。東京都は、2年連続で1ポイントを下回り、過去最低となった。
また、第1子出生時の母親の平均年齢は前年と同じ31.0歳で、晩産化の傾向が続いている。
一方、死亡数は2万9282人増の160万5298人で、4年連続で増加した。年齢別にみると、75歳以上が全体の8割を超えている。
死因の内訳は、悪性新生物〈腫瘍〉が38万4099人と最も多く、死亡者全体の23.9%を占めた。次いで心疾患(高血圧性を除く)が22万6277人(全体の14.1%)、老衰が20万6882人(同12.9%)、脳血管疾患が10万2808人(同6.4%)と続く。
5年から死因項目に追加している「新型コロナウイルス感染症」の死亡数は3万5865人(同2.2%)だった。
年齢別死因は、悪性新生物〈腫瘍〉が男性の「65〜74歳」、女性の「55〜59歳」で最も多く、自殺が男性の「10〜44歳」、女性の「10〜34歳」、老衰が男性の「95歳以上」、女性の「90歳以上」でそれぞれ多くなっていた。
出生数と死亡数の差である自然増減数は過去最大の91万9237人で、減少幅は前年より7万509人拡大した。自然増減率(人口千対)も7.6ポイント減となり、18年連続で減少数と率いずれも拡大が続く。
婚姻件数は1万322組増の48万5063組となり、2年ぶりに増加に転じた。人口千人当たりの婚姻率は4.0で、前年より上昇している。
一方、離婚件数は2081組増の18万5895組となり、2年連続の増加。人口千人当たりの離婚率は1.55で、前年より上昇した。
厚労省は、出生数が初めて70万人を下回ったことに対し、「急速な少子化に歯止めがかかっておらず、危機的な状況に変わりがない」との見解を示した一方で、婚姻件数が約1万組増加したことから、「婚姻数と出生数は密接に関係するデータであり、今後の動向を注視していく」とした。
調査は人口や厚労行政施策の基礎資料にするために実施しており、6年の1年間に国内で発生した日本人の事象が調査客体となっている。今回の発表は各月の数値を合計した概数で、これに修正を加えた上で9月に確定数を公表する。
全社構築に向け取り組む
福岡厚労相
福岡厚労相は、6日の閣議後記者会見で、出生数が過去最少で70万人を割り、出生率も過去最低の1.15となったことについて、「少子化に歯止めがかかっていない」と受け止めを語った。その上で、少子高齢化が進展する中で現役世代の負担軽減と社会保障制度の持続可能性の両立は重要な課題だとし、「全世代型社会保障の構築に向け、改革工程に基づき着実に取り組みたい」と述べた。