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健保ニュース 2025年6月下旬号

被用者保険の適用拡大など
年金改革関連法が成立
参院厚労委附帯決議 保険料の特例措置に支援

被用者保険の適用拡大や基礎年金の将来的な底上げなどを柱とする「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」(年金改革関連法)が13日の参院本会議で、自民、公明両党と立憲民主党などの賛成多数で可決、成立した。本会議での採決に先立ち、12日の参院厚生労働委員会では、社会保険料の特例措置に対する支援を含む15項目の附帯決議が採択された。健保連は特例措置に対し、保険料ではなく、公費で手当てするよう自民党の「国民皆保険を守る国会議員連盟」や公明党の「健康保険組合議員懇話会」に申し入れていた。

年金改革関連法は、①被用者保険の適用拡大②厚生年金の積立金を活用した将来の基礎年金の給付基準の底上げ③厚生年金保険の標準報酬月額の上限引き上げ④在職老齢年金制度の支給停止基準引き上げ──などを柱とし、働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期の生活の安定や所得再分配機能の強化を図るために公的年金制度を見直す。

このうち①は、▽短時間労働者の適用要件のうち、企業規模要件(従業員数51人以上の企業)を令和9年10月から17年10月にかけて段階的に引き下げ、撤廃▽賃金要件(所定内賃金月額8.8万円以上)を公布から3年以内に撤廃▽常時従業員5人以上を使用する個人事業所の非適用業種(法定17業種以外)を11年10月に解消(既存事業所には経過措置を設け、当分の間適用しない)──などの見直しを実施する。

附帯決議には、適用拡大に伴う経過措置として、「事業主が労使折半を超えて負担した社会保険料を制度的に支援する特例措置」に対し、「事業主と保険者に多大な事務負担を課すものとならないよう、システム改修などを含めた事務負担の軽減に配慮すること」と明記された。

②は、次回(11年)の年金財政検証で基礎年金(国民年金)と厚生年金の給付額を調整する期間が著しく異なり、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に、マクロ経済スライドによる調整を同時に終了させる措置を講じる。

関連法案は今年の通常国会の「重要広範議案」に指定され、当初は3月中旬までの提出が予定されていたが、基礎年金の底上げをめぐり政府・与党内での調整が難航し、該当部分を削除した上で、ようやく5月16日に衆院に提出された。

これに対し、基礎年金底上げを重視する立民が自民、公明両党と協議。27日に底上げ策を附則に記載することで合意し、3党共同で修正案を28日の衆院厚労委員会に提出した。30日には本会議で可決、同日参院へ送付された。

日本維新の会や国民民主党などは「審議時間が足りない」として反対に回ったが、基礎年金の底上げには反対しなかった。

参院では6月4日の本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入り。参院厚労委員会では5日から実質審議入りし、参考人質疑を含め4日間で19時間の審議が行われた。13日の参院本会議は、賛成183票、反対51票の賛成多数で可決した。

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