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健保ニュース 2025年6月中旬号

コラボヘルスの取り組み発表
定期対話で事業所と信頼構築
ディスコ健保・小沼常務理事

「健康と経営を考える会」が5月30日に開催したシンポジウムの中で、ディスコ健康保険組合の小沼久実子常務理事が、「出来ることからはじめるコラボヘルス」と題して講演し、事業所との定期的なコミュニケーションで築いた信頼関係に基づく取り組みを発表した。

小沼氏が健保組合に赴任した平成24年当時、法定健診は事業所と協力して実施していたが、特定保健指導は十分に実施できておらず、「健康に関する事業は、必要最低限のことしかできていなかった」と語る。

しかし、翌25年に事業所が「健康一級」を宣言し、本格的に健康管理に関する取り組みを始め、人員が限られる健保組合と事業主側の専門職が全面的に協力し、コラボヘルスに着手した。それ以降、事業所は毎年の経営目標に健康をテーマにした活動を掲げ、着実にコラボヘルスに取り組んでいる。

小沼氏はコラボヘルスに踏み出す第一歩として、事業所との定期ミーティングの設定を提案。「議題は二の次」だとし、「定期的な場を設ける」ことが肝要だと強調した。

また、「事業所からのリクエストや質問に積極的に応える」ことも重視。定期ミーティングでの質問などに対し、健保組合の強みを生かした健診・レセプトデータの提供などにより、「事業所の保健師などと協力関係が構築される」と述べた。

続いて、現在取り組んでいるコラボヘルスの事例として、①感染症対策の補助②食堂とコラボした血糖値が高い人に向けたプログラム③ウェアラブル端末を活用したウオーキングイベント──を紹介した。

①は事業所からの「麻しんと風しんの抗体検査を健保組合で補助する予定はあるか」との問い合わせをきっかけに始めた事業。健保組合のレセプトデータを調べ、その他の感染症対策もあわせて補助することにした。組合会で提案し、実施できそうな抗体検査やワクチン接種などについて事業所内で希望を調査したところ、大きな反響があり、医療機関と連携して日程調整など準備を進めている。

②は事業所の保健師からの提案によるもので、食堂と連携・協同して2週間、食事中心の生活習慣改善プログラムに取り組む。健保組合は血糖値を測定する機器を購入して協力する。

プログラムの対象者は令和6年度の健診結果を基に抽出したが、対象外の従業員も参加を希望した。その人気ぶりから、7年度の健診受診者への実施も計画している。

栄養士が考案した健康弁当は、食べる順番を示すシールを作って容器に貼るなど、食事以外にも工夫を凝らしている。

③はコロナ禍で実施できなかった集合型のウオーキングイベント開催を計画している。健保組合が所属する健保連東京連合会の方面会のウオーキングイベントに事業所の担当者を誘い、秋の開催に向けてシミュレーションしながら歩いた。

これらの事業について、小沼氏は「ささいな会話から生まれた事例」だとして、「定期的にコミュニケーションを取る場があれば、温めているアイデアも話し合える」と強調した。その上で、会場の参加者に「医療職や事業所の担当者と定期的に会う場を設けていますか。その回数を少し増やしてみませんか」と呼びかけた。

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