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健保ニュース 2025年6月中旬号

自公維3党協議
病床再編とDX加速で合意
医療法改正案 修正し年内成立目指す

自民、公明両党と日本維新の会は6日の社会保障改革に関する3党協議で、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減に向け、病床再編の拡大と医療DXの加速化の2点を実現する方針で合意した。

これを踏まえ、今国会に提出された医療法改正案について所要の修正を行い、年内成立を目指すとした。

また、3党は2点の合意とは別に、政府が6月中旬に閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けた対応についても取りまとめ、実務者間で了解した。各党の党内手続きを経て、正式に合意する見通し。

骨太の方針に向けた取りまとめには、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しや、新たな地域医療構想に向けた病床削減、医療DXを通じた効果的で質の高い医療の実現、地域フォーミュラリの全国展開、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進などを盛り込む方針だ。

今回合意した病床再編の拡大は、人口減少などで不要になると推定される病床が11万床に上るとして、地域の実情を踏まえた調査を実施した上で、2年後の新たな地域医療構想策定までに削減を図る。その際、感染症などに対応する病床を確実に確保しつつ、削減される病床の区分や稼働状況などを考慮して精査するとした。

厚生労働省の調査に基づく維新の試算によると、11万床の病床削減により、1兆円の医療費削減を見込む。

医療DXの加速化は、電子カルテの普及率100%に向け、5年以内の実質的な実現を見据え、医療機関の電子化を実現するとした。

あわせて、医療情報の共有を通じた効率的な医療提供体制の構築を促進するため、電子カルテを通じた医療情報を社会保険診療報酬支払基金に電磁的に提供することを目指す。

今回の合意ではこのほか、介護、障害福祉従事者の処遇改善が喫緊の課題だとして、報酬改定や予算措置を組み合わせて、機動的に対応するとした。

3党は引き続き国民負担軽減に向け、社会保障改革の協議を継続する。早期に実現できる施策については、令和8年度から実行することとし、それ以降の措置は今年の骨太の方針に盛り込み、8年度以降の予算に反映させる。

協議終了後、自民、公明の与党と維新は別室でそれぞれ記者団の取材に応じた。
 自民の田村憲久元厚労相は、病床削減には「精査が必要」だとして、11万床・1兆円削減について、「数字にはコミットしていない」と述べた。公明の秋野公造氏も同様の考えを示した。

一方、維新の岩谷良平幹事長は「目標とする4兆円の医療費削減のうち、1兆円を達成できたと考えている」と強調しており、自民、公明両党の認識とは開きがある。

持ち帰りになった骨太の方針に向けた取りまとめ内容について、岩谷氏は「まったく満足できない」としつつも、「今後の議論を継続するきっかけとしては一定程度(維新の主張を)盛り込めたので了解した」と説明した。

また、合意の際には「維新の提案も付属する」と述べた。付属の提案文書には、「残る3兆円」の医療費削減を見据えた21項目の改革を明記し、3党協議で議論を続けるよう求めるという。

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