健保ニュース
健保ニュース 2025年5月合併号
長期収載の選定療養化 後発薬使用促進に一定効果
供給体制確保に課題も
中央社会保険医療協議会の総会は4月23日、診療報酬改定結果検証部会から、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(6年度調査)」として、「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」の報告を受けた。
後発品調剤割合の分布をみると、6年11月で「90%以上」が66.1%に上り、5年度(33.3%)からほぼ倍増した。院内処方を行う診療所でも「90%以上」が19.6%と最多で、6年度改定で導入した長期収載品の選定療養化に一定の効果が認められる結果となった。一方、84.1%の薬局が後発品の供給体制に「支障を来たしている」と回答した。
6年度改定では、長期収載品(先発医薬品)に選定療養の仕組みを導入した。後発品の上市後5年以上経過した長期収載品、または後発品の置換え率が50%以上となった長期収載品を対象に、後発品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とする。
6年10月から、後発品がある先発品を希望する患者に長期収載品を処方・調剤した場合には、価格差の4分の1相当分を「特別の料金」として、通常の一部負担金(1~3割)に加えて徴収している。
調査は1月に実施し、保険薬局610件(回答率40.7%)、一般診療所339施設(同33.9%)、病院229施設(同22.9%)、医師299人、患者(郵送729人、インターネット1000人)から回答を得た。
保険薬局調査では、長期収載品の銘柄名で処方された医薬品のうち、「後発品へ変更して調剤」は73.6%に上ることがわかった。
一方、「長期収載品を調剤」は25.4%で、このうち、「処方箋に「患者希望」が指示」は17.8%、「処方箋に「変更不可(医療上必要)」が指示」は23.3%。「後発品の在庫状況等を踏まえ、提供が困難で長期収載品を調剤せざるを得なかった」が43.9%だった。
病院・一般診療所調査では、病診いずれも、後発品の使用促進に向けた対応方法として「後発品に関する安定供給体制の確保」を最も多く挙げた。
患者調査では、「特別の料金」について「知っていた」と回答したのは、郵送調査で67.9%、インターネット調査で31.9%だった。
「特別の料金」を払っていない理由(郵送)は、「従来から後発品を使用していた」が73.6%、「後発品の在庫がなかった」が11.3%、「先発品を使用する医療上の必要があった」が3.0%。
先発品の使用については、「先発・後発にはこだわらない」が41.6%となり、郵送調査で最も多く、インターネット調査では「できれば後発品を使いたい」が最多で42.4%だった。
また、バイオ後続品(バイオシミラー)の認知度は、「知っている」は郵送調査で18.9%、インターネット調査で8.9%と低調だった。
健保連の松本真人理事は、薬局での後発品の調剤割合が90%以上に集中している状況などを踏まえ、「長期収載品の選定療養を導入した効果が十分に表れている」との見解を示した。
また、医科診療所や歯科診療所でも同様の傾向がみられると指摘し、後発品の体制評価について大きく見直す時期に来ていると述べた。