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健保ニュース 2025年5月合併号

高額療養費見直し
武見会長 共通認識持ち改革へ
超党派議連 有識者からヒアリング

超党派の国会議員で構成する「高額療養費制度と社会保障を考える議員連盟」(会長・武見敬三前厚生労働相)は4月23日、第2回総会を国会内で開き、社会保障論や財政学などを専門とする立教大学教授の安藤道人氏から意見を聞いた。

武見会長は冒頭あいさつで、「改めて高額療養費制度を社会保障全体の中で議論し、できる限り共通認識を持って改革にあたりたい」と述べた。

会議終了後、同議連事務局長を務める立憲民主党の中島克仁氏は今後の議論の進め方について、「各党の考え方を尊重しつつ、まず(今回から)3回にわたり有識者の意見を聞き、論点を整理する」と話した。また、「患者が抱える不安について、政府に、くぎを刺すのが超党派議連設立の目的の一つだ」として、役員会を開いて政府への対応を協議する考えを示した。

安藤氏は「高額療養費上限額引き上げ案の衝撃と教訓─『命の選択』と『家計破綻』を防ぐ改革に向けて─」と題して講演した。実施を見合わせた高額療養費制度の見直し案について、年収区分の細分化を評価したが、自己負担上限額の引き上げ幅の大きさや手取りに占める自己負担上限額の割合の高さなどを「衝撃」と表現して強調した。

患者や医療関係者の意見を踏まえると、高額療養費制度は現時点でも十分な役割を果たせていないとの見方を示した。また、健保組合における高額レセプトの増加に触れ、「裏を返せば、高額な自己負担に直面している患者がそれだけ増えている」とし、今回の見直しが患者の視点に立たなかった点を疑問視した。

具体的な対応として、▽高齢者の自己負担引き上げ▽OTC類似薬の保険適用除外▽フリーアクセス制限・かかりつけ医強化▽子どもの医療費無料化の抑制▽高額医療に対する公費負担医療での対応▽税・保険料の維持・引き上げ・累進化・上限額引き上げ──を例示した。

講演を受け、武見会長は「医療の高コスト化に対し、どのように負担のあり方を考え、持続可能性を確保すればいいか。患者の負担の議論だけでは結論は出ないのではないか」と質した。

これに対し、安藤氏は「抜本的な改革ではなく、高齢者の自己負担引き上げやOTC類似薬の保険適用除外などのメニューをすべて並べ、少しずつ調整して切り出していく必要がある」と答えた。

このほか、出席した議員からは「低年収区分は年収に占める自己負担限度額の割合が高い」「医療の効率化に向けて、高額医薬品の処方にあたっては、確実に予後が改善する患者を選択する必要があるのではないか」「年収要件だけでなく、貯蓄や金融資産、世帯全体の収入で判断すべき」などの意見があった。

各党から役員選出
124人が議連参加

この日の総会では、設立総会で会長一任となっていた同議連の役員についても了承された。また、同議連に衆院議員89人、参院議員35人の計124人が参加していることが報告された。役員は以下の通り。(会長以下は50音順・敬称略)

最高顧問 尾辻秀久(自民)
顧問 野田佳彦(立憲)、前原誠司(維新)、田村智子(共産)
会長 武見敬三(自民)
会長代行 長妻昭(立憲)
会長代理 後藤茂之(自民)、竹谷とし子(公明)、古川元久(国民)
副会長 秋野公造(公明)、浅野哲(国民)、川内博史(立憲)、小池晃(共産)、自見はなこ(自民)、高井崇志(れ新)、辻元清美(立憲)、福島みずほ(社民)、古川俊治(自民)、山井和則(立憲)
幹事長 梅村聡(維新)
幹事長代行 福田徹(国民)
事務局長 中島克仁(立憲)
事務局長代行 田畑裕明(自民)、池下卓(維新)、田村貴昭(共産)
事務局次長 阿部圭史(維新)、石井智恵(国民)、国光あやの(自民)、酒井なつみ(立憲)、塩崎彰久(自民)、八幡愛(れ新)

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