健保ニュース
健保ニュース 2025年5月合併号
7年度後期支援金
健保組合負担 3.4%増の2.3兆円
支払基金決定状況
社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)は4月22日の記者会見で、医療保険者別の令和7年度の①後期高齢者支援金②前期高齢者納付金③介護給付費・地域支援事業支援納付金④出産育児交付金──の決定状況を公表した。健保組合が納付する①後期支援金は前年度比3.4%増の2兆3295億円となった。
健保組合の①~③の徴収決定額は計4兆9264億円で、前年度から0.3%増加した。①~③いずれも7年度概算額から5年度精算額等(調整金額含む)を控除、または加算して算出されている。
このうち①後期支援金は、団塊の世代の75歳到達によって後期高齢者数が約2078万人(6年10月1日時点)となり人口の約17%を占めたことや、1人当たり医療費の増加などで前年度比3.4%増となった。
④出産育児交付金は5年5月成立の「医療保険制度改革関連法」によって、6年4月から導入された制度。出産育児一時金を全世代で支える仕組みで、出産育児一時金の一部(7%)を後期高齢者の保険料から支援する。健保組合の交付金額は38億円で、前年度から15.1%減少した。
支払基金は出産育児交付金額が減少した要因について、少子化に伴う出生率の低下が要因の一つとみている。
①~④の徴収と交付決定状況をみると、①後期支援金は計7兆3590億円(概算額7兆5048億円、精算額等▲1458億円)で、前年度に比べ2.8%増加した。
保険者別の徴収決定額は、▽健保組合2兆3295億円(概算額2兆3378億円、精算額等▲83億円)、前年度比3.4%増▽協会けんぽ2兆4939億円(概算額2兆4756億円、精算額等183億円)、同6.6%増──だった。
②前期納付金は計3兆4227億円(概算額3兆2933億円、精算額等1294億円)で、前年度と比べ0.8%減少した。支払基金は、団塊の世代の多くが75歳に到達し、前期高齢者が減少したことを要因の一つに挙げている。
健保組合は1兆5534億円(同1兆4745億円、同789億円)、同2.5%減、協会けんぽは1兆2937億円(同1兆2483億円、同454億円)、同0.6%増だった。
前期納付金・交付金の仕組みは、保険者間の65~74歳の前期高齢者加入率の差に着目して財政調整するもの。
7年度の前期高齢者の加入者数(見込み)は1442万2369人(前年度比50万9202人減)、全国平均加入率は14.1%(同0.4ポイント低下)と見込んだ。健保組合は、前期高齢者数95万1885人(同1万5206人増)、総加入者数2757万3343人、前期高齢者加入率3.5%(同0.1ポイント増加)で、全国平均との差相当分を納付金として負担する。
都道府県国保は、前期高齢者数963万990人、総加入者数2315万1594人、前期高齢者加入率は41.6%で、全国平均との差相当分を交付金として受け入れる。
7年度における都道府県国保への前期交付金決定金額は、3兆4381億円(同0.8%減)となった。
③介護納付金は、計3兆1206億円(概算額3兆6739億円、精算額等▲5533億円)で前年度比1.1%減少した。健保組合の介護納付金は1兆435億円(概算額1兆2122億円、精算額等▲1687億円)で前年度比2.1%減だった。
④出産育児交付金は計112億円で、健保組合は38億円、協会けんぽは50億円だった。