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健保ニュース 2023年12月中旬号

5年度の市場実勢価格の速報値
平均乖離率 薬6.0%、材料2.5%
薬価は前年比1ポイント縮小

厚生労働省は1日、医薬品と特定保険医療材料の市場実勢価格に関する令和5年度調査の速報値を中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の総会に提出した。

公定価格との平均乖離率は薬価が前回と比較し1.0ポイント減の約6.0%、材料価格が同1.3ポイント減の約2.5%で、これにもとづいて薬価は来年4月に公定価格を引き下げる。

薬価の平均乖離率は、元年度8.0%、2年度8.0%、3年度7.6%、4年度7.0%で推移し、3年度以降、平均乖離率は縮小傾向にある。

薬価と材料価格の改定は、市場実勢価格と公定価格との乖離を埋めるため、医療機関や薬局が販売事業者から購入した市場価格を品目ごとに加重平均し、調整幅(現行は薬価2%、材料価格4%)を上乗せした額を新たな公定価格とする。

5年9月取引分を集計した5年度薬価調査によると、平均乖離率は約6.0%で前回(4年度)の7.0%から1.0ポイント縮小した。

平均乖離率が前年から大きく縮小した要因について厚生労働省は、「国から卸や医療機関等に対して医薬品を適正な価格で流通するよう働きかけてきたことや、物価高騰等の影響で原材料等の調達コストが高騰しているなど様々な要因がある」と説明した。

投与形態別の乖離率は、内用薬が平均7.0%(4年度8.2%)で最も大きく、薬効群別にみると、▽血圧降下剤(12.3%)▽消化性潰瘍用剤(10.6%)▽精神神経用剤(9.3%)▽糖尿病用剤(7.9%)▽その他の中枢神経用薬(7.5%)─は公定価格を7%以上も下回っている。

注射薬は平均4.4%(4年度5.0%)、外用薬は平均7.2%(同8.0%)、歯科用薬剤は平均▲5.6%(同▲4.3%)の乖離率。

外用薬は、「眼科用剤(8.3%)」、「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(7.9%)」が公定価格を大きく下回る。

歯科用薬剤は市場実勢価格が公定価格を上回る「逆ザヤ」と呼ばれる現象が引き続きみられ、マイナスの乖離幅は前年度から1.3ポイント拡大した。

薬価改定には特許期間中の薬価引き下げ緩和や市場拡大品の再算定など、政策的な措置があるが、これらを除いた市場実勢価格にもとづく次期薬価改定率は、単純計算で平均乖離率6.0%から、現行2%の調整幅を考慮した4.0%程度が想定される。

政府の6年度予算概算要求では医療費国庫負担が約12兆1345億円とされており、医療費の薬剤費比率が約2割であることを踏まえると、国庫ベースで1000億円程度(医療費ベースで4000億円程度)の財政効果があると想定される。

他方、5年5~9月取引分を集計した材料価格調査によると、平均乖離率は約2.5%で、前回(3年度)の3.8%から1.3ポイント縮小。現行4%の調整幅を1.5ポイントも下回る乖離率となった。

5年度薬価調査の結果について、健保連の松本真人理事は、「前回の薬価改定では、不採算品や安定供給の問題が指摘され、特例的な引き上げを実施したことから、平均乖離率の縮小がみられた」との認識を示す一方、「薬効群別や投与形態別ではバラツキが生じている」と指摘。

厚労省に対し、薬価制度改革の議論に資する分析結果を中医協に提示するよう要請した。

5年9月の後発品数量割合
80.2%で初の80%超え

厚生労働省は1日、令和5年9月取引分を対象とした薬価調査の結果、後発医薬品の数量割合は前年同月比1.2ポイント増の80.2%だったことを中医協に報告した。

後発品の数量割合は、診療報酬などによる使用促進策に伴い、平成29年9月の65.8%、30年9月の72.6%、令和元年9月の76.7%、2年9月の78.3%、3年9月の79.0%と着実に増加。4年9月は前年同月比増減なしの79.0%だったが、5年9月は同1.2ポイント増の80.2%で、初めて80%を超えた。

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