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健保ニュース 2023年7月下旬号

利用者負担の一定以上所得範囲等
介護部会が年末結論へ議論再開
伊藤常務理事 見直しの確実な実施を

社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実部会長)は10日、政府方針を踏まえた年末の結論に向けて、利用者負担の一定以上所得の範囲の取り扱いなど、介護保険制度の「給付と負担」の見直しに向けた議論を再開した。

昨年の12月20日に介護保険部会が取りまとめた「意見書」は、利用者負担の一定以上所得の判断基準や、第1号保険料負担のあり方について、「遅くとも来年夏までに結論を得るべく引き続き議論」と整理。

一方、政府が今年の6月16日に閣議決定した「経済財政と改革の基本方針2023(骨太方針2023)」は、「介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得の範囲の取り扱いなどについて検討を行い、年末までに結論を得る」との方向性を明示した。

介護保険制度における利用者負担は、平成12年4月の制度創設以来、1割だったが、世代間・世代内の公平性を確保しつつ、制度の持続可能性を高める観点から、27年8月に被保険者の上位20%を2割負担、30年8月に所得の高い者を3割負担へと見直した。

このうち、利用者負担が2割負担となる「被保険者の上位20%」は、「合計所得金額160万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額280万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場合346万円以上)」の場合に該当。利用者に占める割合は4.6%となる。

一方、75歳以上の後期高齢者における医療保険の患者負担は、令和4年10月から「被保険者の上位30%」を2割とする見直しを実施。75歳以上の被保険者に占める割合は約20%となる。

この日の会合では、厚生労働省が75歳以上における単身・夫婦2人世帯の収入と支出の状況(年収別モデル)を試算し、提示した。

このうち、「75歳以上の単身世帯」は、現行の基準である「被保険者の上位20%」の年収280万円に対し、支出は258万円で差額は22万円。支出のうち、「非消費支出(税・社会保険料)」は49万円だった。

これに対し、後期高齢者医療の2割負担と同じ考え方の「被保険者の上位30%」の年収は220万円、支出は211万円(非消費支出33万円)で差額は9万円となる。

他方、「75歳以上の夫婦2人世帯」では、「被保険者の上位20%」の年収346万円に対する支出は328万円(非消費支出55万円)で差額は18万円。「被保険者の上位30%」の年収286万円に対する支出は265万円(非消費支出34万円)で差額は21万円だった。

このほか、第1号保険料負担について厚労省は、負担能力に応じた負担の観点から、保険料設定の段階数や所得に応じた標準乗率、低所得者軽減に充当されている公費と保険料の多段階化の役割分担等を論点とした。

健保連の伊藤悦郎常務理事は、一定所得以上の判断基準など給付と負担の見直しの結論が年末まで先送りされたことに遺憾の意を示し、厚労省に理由を質した。

厚労省は、「物価高の影響や賃上げの動きが出てきている状況のなか、負担面の結論を先に出すのは難しい」と述べたうえで、「来年度の介護報酬改定とセットで議論していく必要があるとの判断から、年末までに結論を得ると骨太方針に明記された」と説明した。

伊藤常務理事は、「議論が終わらないまま再度、先送りはあってはならない」と強調し、見直しの確実な実施を要望。今後、単身高齢者全体の平均的な収入と支出のデータや、後期高齢者医療の2割負担と同じ年収200万円世帯の支出など幅広い選択肢をもとに議論を進めていくべきとの考えを示した。

井上隆委員(日本経済団体連合会専務理事)は、現行の「被保険者の上位20%以上」を「25%以上」、「30%以上」に見直した場合の保険財政への影響を提示するよう要請。また、高齢者の負担能力を考える場合、金融資産を把握して適切に判断していくべきと主張した。

このほか、全国市長会は、「来年度から始まる第9期介護保険事業計画に向け保険料を設定する保険者にとっては、早い段階での情報提供が求められる」と指摘し、厚労省に対して、現段階で想定している保険料設定の情報を速やかに市町村に提供するよう求めた。

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