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健保ニュース 2021年11月下旬号

令和元年度国民医療費
高齢化等で2.3%増の44.4兆円
1人当たりは35万1800円

厚生労働省は9日、令和元年度の国民医療費が前年度に比べ2.3%増の44兆3895億円だったと公表した。2.3%増加した要因としては、人口の高齢化で1.0%の増加、医療の高度化などその他で1.6%の増加がプラスに影響した。一方で、人口の減少による0.2%の減少、元年10月の消費税増税対応のための診療報酬改定の影響による0.07%の減少がマイナス要因として作用した。

1人当たりの国民医療費は過去最高の35万1800円で前年度と比べ2.5%増加した。
 国民医療費は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となる疾病の治療費を推計したもので、評価療養、選定療養、不妊治療における生殖補助医療、正常分娩、健康診断、予防接種等に要した費用は含まれない。

元年度の国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は、同0.14ポイント上昇して7.93%、国民所得(NI)に対する比率は同0.27ポイント増の11.06%となっている。

制度区分別の国民医療費は、被用者保険の給付分が同3.4%増の10兆6624億円、国民健康保険の給付分が同0.3%減の9兆639億円、後期高齢者医療の給付分が同4.0%増の15兆6596億円、患者負担分が同0.9%増の5兆4540億円。

被用者保険の給付分のうち、健保組合は同0.6%増の3兆7034億円、協会けんぽは同5.6%増の5兆8540億円、船員保険が同2.1%増の192億円、国家公務員共済組合が同1.7%増の2447億円、地方公務員共済組合が同1.4%増の7075億円、私立学校教職員共済組合が同3.6%増の1336億円だった。

都道府県別の国民医療費は、最高が東京4兆4571億円、次いで大阪3兆3956億円、神奈川2兆8889億円で、最低は鳥取2050億円、次いで島根2677億円、福井2733億円となっている。

1人当たりでは、最高が高知46万3700円、長崎43万3600円、鹿児島43万3400円と続く。最低が千葉30万8500円、次いで埼玉31万900円、神奈川31万4100円となっている。

年齢階層別に国民医療費をみると、0~14歳は2兆4987億円(構成割合5.6%)、15~44歳は5兆2232億円(同11.8%)、45~64歳は9兆6047億円(同21.6%)、65歳以上は27兆629億円(同61.0%)となっており、65歳以上の医療費が6割を占めている。1人当たりでは65歳未満が19万1900円、65歳以上が75万4200円、75歳以上は93万600円となっている。

男性1人当たり国民医療費は65歳未満が19万2500円、65歳以上が81万5800円。女性は65歳未満が19万1300円、65歳以上では70万6700円といずれも男性を下回る。

国民医療費の財源は、保険料が前年度比2.7%増の21兆9426億円(構成割合49.4%)で全体のおよそ半分を占める。保険料のうち被保険者負担分は同2.6%増の12兆4832億円(同28.1%)、事業主負担分が同2.8%増の9兆4594億円(同21.3%)。公費は同2.3%増の16兆9807億円(同38.3%)で、このうち国庫負担分が同2.3%増の11兆2963億円(同25.4%)、地方負担分が同2.1%増の5兆6844億円(同12.8%)となっている。患者負担分と健康被害補償の原因者負担分は同0.9%増の5兆4540億円(同12.3%)だった。

診療種類別でみると、医科診療医療費は同2.0%増の31兆9583億円で全体の72%を占める。このうち入院が同2.1%増の16兆8992億円、入院外が同1.9%増の15兆591億円。歯科診療医療費は同1.9%増の3兆150億円、薬局調剤医療費は3.6%増の7兆8411億円となっている。

医科医療費を傷病分類別にみると循環器系の疾患が同1.3%増の6兆1369億円で最も多く、次いで新生物(腫瘍)が同4.9%増の4兆7459億円、筋骨格系及び結合組織の疾患が同2.6%増の2兆5839億円、損傷・中毒及びその他外因の影響が同1.9%増の2兆4897億円、腎尿路生殖器系の疾患が同3.2%増の2兆3043億円と続く。65歳未満では新生物が最も多く、65歳以上では循環器系が最も多い。



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