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健保ニュース 2021年11月下旬号

中医協が療養病棟入院基本料を議論
支払側 経過措置の延長に反対

中医協総会は19日、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、慢性期入院医療をテーマに議論した。

今年度末で終了することとなっている療養病棟入院基本料経過措置の取扱いについて、診療側は相当数の医療機関が届出を行っていることから延長を主張。一方、支払側は、当初の予定通りの終了を強く訴え、経過措置の延長に明確に反対した。

厚生労働省は、慢性期入院医療の論点として、①療養病棟入院基本料②障害者施設等入院基本料③緩和ケア病棟入院料④有床診療所入院基本料─などをあげた。

このうち、①は、今年度末で終了することとなっている療養病棟入院基本料経過措置について、▽現に届け出ている医療機関・病床が存在▽入院している患者の状況▽行われている医療行為─を踏まえた取扱いを論点として提示。

合わせて、医療区分3のうち「中心静脈栄養を実施している状態」について、嚥下機能評価の取り組みなど、中心静脈栄養からの離脱に向けた評価のあり方を論点とした。

③は、「新版がん緩和ケアガイドブック」で疼痛の数字を用いた評価を行うこととされていることを踏まえ、質の高い緩和ケアをさらに推進する観点から、「緩和ケア病棟入院料」の評価方法を論点として提案した。

論点①の療養病棟入院基本料経過措置の取扱いについて、健保連の松本真人理事は、「短い入院期間でリハビリを多く実施して減算分を取り戻し、療養病棟入院料1に近い診療報酬を得るという、驚くべき実態が明らかになっている」と言及したうえで、「今の形で経過措置を単純に延長することには明確に反対する」と強調した。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も、「109施設が経過措置の区分に残っている理由を詳細に分析し、経過措置終了を前提とした対応を慎重に検討することが必要」との考えを示した。

一方、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「経過措置を届け出ている医療機関は109施設もあり、来年3月で経過措置を終了すると現場は混乱し患者に影響も与える」と主張し、経過措置の延長を要望。

地域の医療提供体制を踏まえながら、個々の医療機関が無理のない方法で経過措置から移行できるような制度設計について検討を進めていくべきとした。

中心静脈栄養の評価のあり方については、松本理事が、嚥下機能評価にしっかり取り組み、中心静脈栄養から抜けられる患者が増えるよう、療養病棟入院料の要件厳格化を求めた。

論点③については、支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)が、緩和ケア病棟入院料で数字等を用いた評価を推進するため、「数字等を用いた評価を行っている医療機関と行っていない医療機関でメリハリをつける対応も考えられる」と主張。

城守委員は、質の高い緩和ケアを推進するため、数値による評価を導入する方向性に理解を示す一方、職員の負担が大きいために導入できない調査結果が示されているとし、「無理のない形での導入を検討すべき」との考えを示した。

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