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健保ニュース 2021年10月下旬号

厚労省が次期薬価改定の論点
中医協 開示度向上は両側一致

厚生労働省は令和4年度の次期薬価改定に向けた論点を整理し、20日に開催した中医協の薬価専門部会に提案した。

原価計算方式のあり方については、支払・診療側とも、さらなる開示度の向上を求める意見で一致した。健保連の幸野庄司理事は、新薬創出等加算の企業要件を絶対評価へ見直すよう改めて強く訴えた。

厚労省はこの日の会合に、①イノベーションの評価②国民皆保険の持続性・適正化③安定供給の確保④その他─を柱とする「次期薬価改定について(その1)」と題する資料を示した。

①は▽革新的医薬品のイノベーション評価▽薬機法改正にかかる対応、②は▽原価計算方式のあり方▽新創加算ルールの適正化、③は基礎的医薬品のあり方、④は▽市場拡大再算定の類似薬の考え方▽リポジショニングの際の薬価算定▽基礎的医薬品の改定ルールの見直し─の項目から構成。

このうち、「原価計算方式のあり方」は、平成30年度改定以降、原価計算方式で算定された47成分のうち、開示度が最も低い50%未満(加算係数0.2)が24成分と半数超を占める状況等を踏まえ、「海外からの移転価格の開示等や移転価格であることを考慮した算定方法」を論点として提起した。

また、「新創加算ルールの適正化」は、▽区分Ⅰ(加算係数1.0)21社▽区分Ⅱ(同0.9)60社▽区分Ⅲ(同0.8)8社─のように、加算率が大きい区分ⅠとⅡに企業数が集中している分布から、新創加算の企業要件のあり方を論点として提案。

「基礎的医薬品の改定ルールの見直し」は、▽基礎的医薬品から外れた品目が再度要件を満たす場合▽基礎的医薬品から外れた品目の薬価が引き上がる場合▽品目単位で乖離率にもとづき基礎的医薬品の該当性を判断している運用─への対応を論点とした。

「原価計算方式のあり方」について診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「薬価の透明性を高める観点から開示を進める方針に賛同する」と述べ、開示度が低い品目の加算率をさらに引き下げる検討が必要と指摘。

さらに、加算対象とならない場合でも薬価に反映されるよう、「移転価格の原価自体に係数を乗じる方法も検討に値するのではないか」と問題提起した。

健保連の幸野庄司理事は、「中身のわからない移転価格に対しては何らかの措置を講じるべき」と言及し、移転価格が原材料費となる場合、営業利益部分のみに加算を乗じるルールの検討を選択肢として提案した。

「新創加算ルールの適正化」について幸野理事は、区分3以外は区分1.2となる企業要件の相対評価について、得点に応じた絶対評価に見直すよう要望。

城守委員は、革新的な新薬の創出を促進する観点から、企業指標で0ポイントのみとなっている区分3の加算係数は厳格化する対応も考えられると主張した。

「基礎的医薬品の改定ルールの見直し」について幸野理事は、「引き下がった薬価が別のルールで再度引き上がる仕組みは避けるべき」との考えを示した。

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