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健保ニュース 2021年6月中旬号

参院厚労委が附帯決議
厳しい健保組合に財政支援

参院厚労委では、法案の採決と合わせて、共産党を除く与野党5会派の共同提案の附帯決議も採択した。附帯決議では、▽特に財政状況が厳しい健保組合に対する財政支援▽後期高齢者医療制度の財源のあり方を検討▽持続可能な全世代型の医療保険制度を構築するため、税制も含めた総合的な議論に着手し、必要な法整備等を講じる─などを明記。

さらに、立憲民主党が衆院に提出した対案に盛り込んだ後期高齢者の保険料見直し、賦課限度額の引き上げなども今後の検討課題に位置づけた。

一方、法案審議の慣例から審議時間の多くは野党議員の質疑にあてられたが、新型コロナ感染対策や東京オリンピック・パラリンピックの開催の是非など、議案の改正法案以外の課題について、政府に見解を質す場面も多く見られた。

衆参厚労委ではそれぞれ4月23日、6月1日に菅義偉首相が出席し、対総理質疑を実施。菅首相は、2割負担導入の必要性について、「来年に団塊の世代が75歳以上高齢者になり始めるなか、少しでも高齢者に支える側として活躍してもらい、能力に応じた負担をしてもらうことは待ったなしと考える」と答弁した。また、「今回は改革の第1歩」と位置づけたうえで、「国民皆保険制度を持続可能なものとするためにあらゆる施策を打つ」と述べ、改革を継続する必要性に言及した。

また、改正案に対する参考人質疑では、衆参厚労委とも健保連の佐野雅宏副会長が参考人として出席し、後期高齢者の2割負担の早期実施や健保組合に対する支援策の充実・強化を訴えた。これを踏まえ、複数の与野党議員が健保組合の窮状に対する理解とともに、健保組合・健保連の主張を支持する意見が示された。(参院厚労委が6月3日に採択した附帯決議の全文は次のとおり)

一、後期高齢者医療制度における窓口負担割合の見直しについて、2割負担の対象となる後期高齢者において、必要な受診が抑制されることにより疾病の早期発見が妨げられ、重症化につながることがないよう、健康診査の強化など必要な取組を進めること。また、窓口負担割合の見直しが後期高齢者の受診に与える影響を把握するとともに、いわゆる長瀬式について、現代の受療行動等に対応した信頼性の高い推計が可能となるよう研究を進めること。

二、2割負担の対象となる後期高齢者に対して設けられる配慮措置については、高額療養費制度による対応となることから、申請漏れ等が生じることのないよう、後期高齢者医療広域連合や医療機関等に対し、ポスターやパンフレットの提供など必要な支援を行い、その周知・広報を徹底すること。また、事前に高額療養費の振込先口座の登録を行えるようにするなど申請漏れが生じないような取組をプッシュ型で進めることについて、関係機関と協議を進めること。さらに、配慮措置の導入により、高額療養費制度の対象となる被保険者の急増が見込まれることから、事務負担の増加が見込まれる後期高齢者医療広域連合等に対する支援を的確に実施すること。

三、後期高齢者医療制度の創設以降、高齢者世代と現役世代の人口バランスが大きく変化し、制度の支え手である現役世代に対する負担が加速度的に増していることや、現役並み所得の後期高齢者に係る医療給付費について公費負担が行われておらず現役世代に対する過重な負担となっていること等を踏まえ、後期高齢者医療制度における財源の在り方について検討を行うこと。

四、後期高齢者支援金の増大に加え、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けた保険料収入の急減により、健康保険組合の財政運営が極めて困難な状況にあること等を踏まえ、特に財政状況が厳しい健康保険組合に対する財政支援や保険者機能強化支援事業等の推進を図ること。

五、健康保険等における傷病手当金の支給期間の通算化に当たっては、制度の一層の活用が図られるよう、事業主及び労働者に対し、改正内容のほか制度自体の趣旨・申請手続等に関して丁寧な周知を行うこと。また、事業主から申請手続に係る協力が得られないなど、不適切と見受けられるケースが発生した場合には、保険者と連携しつつ、当該事業主に対して適切に指導を行うこと。

六、育児・介護休業法の改正により、育児休業を最大4回に分割して取得することが可能となることを踏まえ、単に社会保険料免除だけを目的とした恣意的な育児休業の取得が行われることのないよう、各事業主に対して制度の適切な活用を促すこと。また、育児休業取得による社会保険料免除の適用状況を把握し、適切な運用が行われているか不断の検証を行うこと。

七、国民健康保険に導入される未就学児に対する均等割保険料・税の減額措置について、市町村や都道府県等における財政状況等を勘案しながら、対象者や減額幅の更なる拡充を引き続き検討すること。また、国民健康保険については、被用者保険と異なり、出産手当金制度等の所得保障を目的とする現金給付が任意による実施とされ、産前・産後期間等における保険料免除制度も設けられていないことから、少子化対策等の観点を踏まえ、財源や保険料負担の在り方等も勘案しつつ、出産に関する保険料における配慮の必要性や在り方等を検討すること。

八、機微性が高く、第三者には知られたくない情報が含まれ得る健診情報等が、各保険者により多く集約されるようになることを踏まえ、当該情報が適切に管理・運用されるよう、国が責任をもって個人情報保護法等に基づく適切かつ十分な助言・指導を行うとともに、関係法令やガイドライン等の周知・広報を徹底し、併せてガイドラインの見直しなど適切かつ十分な個人情報保護に向けた不断の検討と対処を行うこと。

九、医療扶助におけるオンライン資格確認の導入に当たっては、制度施行までに個人番号カードの取得や医療機関等におけるオンライン資格確認システムの導入が進まない場合、医療券等の発行業務が併存し、かえって福祉事務所の事務負担を増大させることにつながりかねないことから、被保護者の個人番号カード取得の支援や、医療機関等におけるオンライン資格確認システムの導入支援を進めること。また、何らかの事情により制度施行後においても個人番号カードを保有するに至っていない被保護者に対しては、引き続き医療券等の発行を行うなど、必要な医療を受けられる体制を確保すること。さらに、情報通信機器を保有していない被保護者が、マイナポータルを通じて自身の健診情報等を閲覧できるよう、適切な支援を行うこと。

十、近年増加の一途にある高額な医薬品・医療機器について、将来の医療保険財政に与える影響を早期に検証し、その適切な評価の在り方に関する検討を進めるとともに、特に各製薬企業等による医薬品等の情報開示状況の評価について、開発過程における特許料等の取扱い等も含め、十分な検討を行うこと。また、極めて高額となり得る遺伝子治療について、その在り方を速やかに検討し、その結果を踏まえた適切な評価の在り方も含め、今後の方向性を示すこと。

十一、窓口負担割合の見直しなど患者の受診行動に影響を与え得る制度変更を検討する場合は、医療費への効果額の詳細な内訳などを関係審議会等に明示した上で議論を進めること。

十二、2022年以降後期高齢者が急増する中、現役世代の負担上昇を抑えながら、国民皆保険制度の維持に向けた持続可能な全世代型の医療保険制度を構築するため、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の在り方、保険給付の在り方、医療費財源における保険料、公費、自己負担の適切なバランスの在り方等について、税制も含めた総合的な議論に着手し、必要な法整備等を講ずること。

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