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健保ニュース 2020年11月中旬号

公明党健保組合議員懇話会
佐野副会長 健保財政は危機的状況に
財政支援などを要請

公明党健康保険組合議員懇話会(桝屋敬悟会長)が5日、衆議院第2議員会館で開催され、出席した健保連の佐野雅宏副会長は、新型コロナウイルス感染拡大によって財政的に甚大な影響を受けている宿泊業、飲食業などの業種の健保組合や総合健保組合への緊急支援が必要と訴えた。

桝屋会長は冒頭、全世代型社会保障検討会議の年末の最終報告の取りまとめに向けて、「大きなヤマを迎えている」として、「しっかりと皆さんの話を伺って取り組みを進めたい」と述べ、健保組合の意見を汲み取りながら医療保険制度改革を検討する意向を示した。

健保組合を取り巻く現状について報告した佐野副会長は、これまで団塊の世代が75歳に入り始めて保険料率の引き上げにつながる局面を「2022年危機」として訴えてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、その危機が早まる恐れが出てきたと説明した。

健保連が実施した試算結果から、宿泊業や飲食業、娯楽業など幅広い業種で給与や賞与が大幅に下がり保険料収入の減少につながると懸念を示した。さらに、2022年の団塊世代の後期高齢者入りによる拠出金負担の急増と合わせて、2021年度以降は財政悪化が顕著になり、2022年度の健保組合全体の経常収支の見通しは、9400億円の赤字になることを明らかにした。

そのうえで、佐野副会長は、当面の対策として今年度の予備費を活用し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で財政的に大きな影響を受けている宿泊業・飲食サービス業など、特定の業種の健保組合や中小企業を中心とする総合健保組合への緊急支援と、保険料納付猶予で今後の事業運営に影響を及ぼす健保組合への財政支援を求めた。

さらに来年度予算では、新型コロナウイルス感染症の影響でより財政が逼迫した健保組合の拠出金負担軽減と、健保業務のテレワーク化、ペーパーレス化などデジタル化の推進の実現を要望した。

また、全世代型社会保障検討会議の最終報告など医療保険改革に向けた議論が、今後本格化することを踏まえ、後期高齢者の自己負担の見直しと後期高齢者の現役並み所得者の給付費に公費を投入することなどの実現に理解を求めた。

佐野副会長の説明に対し出席した議員からは、健保連が試算した新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う健保組合の財政影響で、実質保険料率が来年度に10%を超えるなど今後の厳しい動向に心配の声が相次ぐとともに、現役並み所得者の後期高齢者医療に公費が投入されていない現状の財源構成を問題視し、改善の必要性を指摘する意見も出た。

こうした意見に対し佐野副会長は、財政悪化が進み、協会けんぽよりも高い保険料率を設定しなければならなくなると解散の議論が起きかねないと危惧し、健保組合財政が好転に向かうような先行きに明るい展望が持てる改革が必要との認識を示した。

さらに高齢者医療拠出金については、「現役世代は高齢者のために負担しないとは言っていない。ただ負担には一定の限度がある」と述べ、過重な負担を是正する必要性を強調した。後期高齢者の自己負担については、高額療養費制度の一般区分該当者を2割とするよう訴えた。

桝屋会長は、会合終了後、記者団に対し、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ「健保組合財政の危機が非常に切実なものだということを確認した」「何らかの一定の新たなルールを考えないと、2022年、またその前の危機を乗り越えられない」などと危機感を示し、年末に向けて党内議論を本格化させる意向を示した。

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