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健保ニュース 2020年8月下旬号

新型コロナの感染拡大に対応
厚労省検討会 オンライン初診を当面継続
改めて時限措置の期限を検討

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(山本隆一座長)は6日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応として、初診からオンライン等により診断や処方を行うことを可能とした時限措置を当面の間、継続することを了承した。

患者の受診控えが見られるなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う影響が収束していない状況を踏まえた対応で、厚労省は、3か月後を目安に検討会を開催し、改めて時限的な取り扱いの継続の可否について検討する方針を示した。

4月10日から容認されたオンラインや電話による診療の時限的な取り扱いは、新型コロナウイルス感染症の感染が収束するまでの間とし、3か月ごとに感染拡大の状況や医療機関等における対応の実用性と実効性確保・医療安全等の観点から検証を行うこととされていた。

この日の会合では、厚労省が、「令和2年4~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証について」と題する資料を提出した。

初診からオンライン等による診療を実施する医療機関は4月27日の4378施設(全体の3.9%)から7月末の6801施設(同6.1%)に推移。

初診からのオンライン等による診療の件数は、4月がオンライン1142件、電話3014件、5月が同2807件、同5461件、6月が同1659件、同3536件─だった。

実績については、▽患者の背景▽特例措置の要件▽医師が医学的に可能と判断した範囲の適切性▽医師の対応方針の適切性▽処方薬─の観点から、要件で禁止している麻薬・向精神薬が処方されていないかなどにかかる検証を実施した。

その結果、「一部、物理的に大きく離れた地域で診療が行われていた」、「一部、特例措置の要件を守らない診療が行われていた」ことなどが明らかになり、当面の対応として、要件を改めて周知するとともに、▽概ね同一の二次医療圏内を生活拠点とする患者を対象とするのが望ましい▽湿疹など電話診療が適さない疾患があることに留意する必要がある─ことについて情報共有を図ることを提案。

一方、時限的な取り扱いの期限は、6月下旬より新型コロナウイルス感染者数が再度増加した影響から、患者の受診控えが見られているとし、▽時限的な取り扱いを当面の間、継続し、次回の検討会で改めて収束と言えるか評価してはどうか▽評価にあたっては、「患者が安心して医療機関の外来を受診できる頃」と言えるかどうかが重要ではないか─との案を示した。

厚労省の提案に対し、構成員からは特段反対意見はなく、原案通り、概ね了承された。また、今後の検証にあたり、オンライン診療と電話診療は切り分けるべきとの意見や、オンライン診療等の利用者の声を幅広く聴取すべきとの意見があった。

このほか、厚労省は、特例措置の実用性と実効性に関し、受診者を含めた関係者の意見を聴取しエビデンスを見える化するため、医師と患者の主観的な受け止めなどの実態にかかる追加調査の実施を提案した。

このうち、患者に対しては、初診をオンライン等で受けた場合に対面診療と比較し、▽医師の診断や処方内容に不安や気になる点があったか▽受診のしやすさや利便性という観点からどのように感じたか─などの事項を追加で調査することとした。

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