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健保ニュース 2020年6月上旬号

被用者保険適用拡大が柱
企業規模見直し 年金改革関連法が成立

短時間労働者への被用者保険の適用拡大を柱とする年金改革関連法(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律)が5月29日の参院本会議で可決、成立した。

同法改正は、被用者保険の適用が義務づけられる現行の企業規模要件の従業員500人超を令和4年10月から100人超、6年10月から50人超へと段階的に引き下げて、被用者保険の被保険者を増やす。現行1年以上の勤務期間要件も見直し、4年10月から2か月超とする。

被用者保険の適用を50人超の企業までに拡大すると、国保の被保険者から新たに約40万人、被用者保険の被扶養者から約30万人の合計約70万人が健康保険の被保険者に移行すると見込まれており、このうち約20万人が健保組合に加入する。このケースの健保組合への財政影響は、被扶養者の減少で210億円改善する一方、被保険者の増加によって250億円悪化し、差し引き40億円の負担増と試算されている。

今回は、適用要件のうち企業規模と勤務期間の2つを改正して、現行の▽週労働時間20時間以上▽月額賃金8.8万円以上▽学生除外─はいずれも維持する。

このほか、被保険者の資格取得を促進するため、雇用契約期間が2か月以内であっても2か月を超えて使用される見込みがある場合は、雇用当初から被用者保険を適用する。4年10月から施行する。現在は2か月以内の雇用期間を継続反復して2か月が経過してから被用者保険が適用されるが、適用拡大と合わせて、2か月超雇用が見込まれる者に早期に適用する。

被用者保険の適用事業所については、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所のうち、現在は非適用となっている弁護士、公認会計士など士業を4年10月から適用業種に追加する。

参院本会議の採決に先立ち、5月28日の参院厚生労働委員会では、同法改正案の採決と合わせて改正法施行に際しての12項目の附帯決議が採択された。

被用者保険の適用に関しては、保険料負担が増大する中小企業への支援を拡充しつつ、企業規模要件の早期撤廃に向けて速やかに検討を開始するとともに、労働時間と賃金の要件のあり方も検討し、早期に必要な措置を講じることとした。

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