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健保ニュース 2019年11月中旬号

全世代型検討会議がヒアリング
受診時定額負担の導入に賛否
医療関係者、若手・女性が出席

政府の全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)は8日、首相官邸で第2回会合を開き、医療関係者や若手・女性の有識者から制度改革に対する考え方をヒアリングした。医療保険制度改革の論点の1つとなっている受診時定額負担について、医療関係者が受診抑制に繋がるとして明確に反対を表明したのに対し、若手・女性からは制度の持続性や医療費適正化の観点から導入に前向きな意見が出された。

検討会議は、国民の意見を幅広く聴取し議論に反映させる方針で、次回も関係者からヒアリングを実施する。

この日のヒアリングには、医療関係者として、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3団体、若手・女性の立場として、三上洋一郎氏(GNEX代表取締役CEO、現役大学生)、武田洋子氏(三菱総合研究所政策・経済研究センター長)、米良はるか氏(READYFOR代表取締役CEO)、石山アンジュ氏(Public Meets Innovation代表理事)の4名が出席した。

日本医師会の横倉義武会長は3師会を代表し、全世代型社会保障改革への期待を述べた。このなかで、3師会の共通意見として、人生100年時代の患者・国民の安心につながる丁寧な議論を求めるとともに、「疾病予防・健康づくりの推進」と「国民皆保険の理念の堅持」の2つが重要と指摘した。

また、社会保障が持つ経済効果について、「社会保障と経済は相互作用の関係にあり、経済成長が社会保障の財政基盤を支え、医療の拡充による国民の健康水準の向上が経済成長と社会の安定に寄与してきた」との考えを示し、「国民が安心して老後を迎えられるように社会保障を充実させる必要がある」と強調した。

受診時定額負担の導入については、「定率負担に加え定額の負担を求めることになり、医療にかかりにくくするもので反対である」と明言した。

後期高齢者の医療費については、「現役世代に負担がかかっていることも十分に理解できる」とし、後期高齢者の2割負担をめぐっては「負担できる方には負担してもらうこともあり得るのではないか」との見解を示した。一方、年齢に応じて一律に負担を求めることについては、「若人であれ、高齢者であれ、負担能力で判断すべきであり反対だ」と述べた。

三上氏は、改革の方向性について、「従来の高齢者偏重の社会保障制度から、どの世代であっても合理的に社会保障制度の便益を享受できる仕組みが必要」と指摘。医療保険制度改革は、受診時定額負担などの頻回受診を適正化する需要面と、医師数・病床数の合理化など供給面の両面からのアプローチを重要視した。

さらに、保険料水準について、「人口動態上、大幅な増加は難しい」との認識を示し、「保険適用となる診療や薬剤の給付範囲についても議論するべきではないか」と主張した。

武田氏は、持続可能な社会保障に向け、「2022年問題の先送りはできない」として、給付と負担のあり方を見直すよう求めた。具体的には、▽2022年から後期高齢者になる者の窓口負担を2割のまま維持▽新たに70歳となる者の窓口負担は3割のまま維持▽年齢によらない給付と負担のあり方の検討─の3つを提言した。また、社会保障制度改革は、「世代間対立ではなく、全世代のためである」とし、就労・年金改革と医療保険制度改革をパッケージで国民に提示すべきと述べた。

米良氏は、現行の医療保険制度について、「2022年に団塊の世代が後期高齢者に移行し始めて制度の破たんが危惧される」とし、改革のあり方について、「年齢別ではなく、負担能力に応じたものに見直すことが必要」と述べるとともに、後期高齢者の頻回受診を適正化する観点から受診回数に応じたインセンティブ付与やオンライン診療の推進の検討を求めた。

このほか、石川氏は、人と地域のつながりをテクノロジーによって取り戻し、無数のコミュニティやセーフティネットを生み出す共助モデルを実現することにより、社会保障費を適正化することを提案した。

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