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健保ニュース 2019年10月中旬号

介護保険部会が被保険者範囲を議論
対象拡大に慎重論が大勢

社会保障審議会・介護保険部会(部会長・遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所長)は9日、次期制度改正に向け、被保険者・受給者範囲をテーマに議論した。健保連の河本滋史常務理事が、現行は40~64歳としている第2号被保険者の範囲拡大について、「現役世代の負担増につながるもので、慎重であるべきだ」と発言したほか、多くの委員から慎重や反対の意見が出された。

介護保険料は、制度発足当初3000円程度だったが、現在は6000円弱と倍増し、今後もさらなる高齢化の進展に伴い上昇が見込まれる。また。40歳以上人口は2020年代初頭から減少し、40歳以上人口に占める第2号被保険者の割合は20年が53.8%、25年が53.1%と徐々に低下し、35年には49.7%と5割を切ると推計されている。

厚生労働省は、今後の介護費用の増加や人口構造の変化などを踏まえ、▽現行の「高齢者の介護保険」を維持するか、年齢に関係ない「介護保険の普遍化」をめざすべきか▽現行65歳を境に第1号と第2号被保険者に区切られている対象年齢をどう考えるか─などの論点を提示した。

これに対し、健保連の河本常務理事は、「(現役世代は)高齢者への過重な負担を強いられており、そういう意味で世代間の給付と負担のバランスが崩れている」と指摘し、範囲拡大に慎重姿勢を示した。

協会けんぽの安藤伸樹理事長は、被保険者・受給者範囲の設定について、「制度創設当時の考え方は現在でも一定程度合理性がある」との考えを示す一方、今後の人口構造の変化を踏まえ、「いまから範囲のあり方の議論を進めていく必要があるが、単に介護保険だけでなく、医療保険や年金などの他の制度と整合性が取れた仕組みにする必要がある」と述べた。

また、経団連の井上隆常務理事は意見書で、第2号範囲拡大について、「すでに多大な拠出を行っている現役世代、子育て世代にさらなる負担を課すことになる。若年層に広がる社会保障制度への不信感をさらに拡大させることになり、理解を得ることは極めて困難と言わざるを得ない」との考えを表明した。

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