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健保ニュース 2019年9月上旬号

社保審・介護保険部会
給付と負担が大きな論点
河本常務理事 第2号範囲拡大に慎重姿勢

社会保障審議会・介護保険部会(部会長・遠藤久夫国立社会保障人口問題研究所長)は8月29日、次期介護保険制度改正に向け、今後の検討方針や検討スケジュールについて議論した。

厚生労働省は、▽介護予防・健康づくりの推進▽保険者機能の強化▽地域包括ケアシステムの推進▽持続可能な制度の再構築等▽認知症「共生」・「予防」の推進─の5つの検討事項を月1、2回のペースで深掘りし、今年12月には意見集約し、来年の通常国会に改正法案の提出をめざす方針を示した。

この日の議論では、持続可能な制度の再構築に関連し、給付と負担のあり方が大きな論点となった。

介護保険制度は、2000年度創設から19年が経過し、介護費用は制度創設時から約3倍の11.7兆円(令和元年度予算ベース)に増加するとともに、保険料負担(月額)も当初の3000円程度から6000円程度に倍増。今後も、高齢化の進展やサービス利用者の増加等によりさらなる保険料水準の上昇が見込まれる。前回制度改正に関する介護保険部会での議論や、「骨太方針2018及び2019」、「新経済・財政再生計画改革工程表2018」においても、給付と負担に関連する▽被保険者・受給者範囲▽補足給付に関する給付のあり方▽多床室の室料負担▽高額介護サービス費▽「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準─などが検討課題として挙げられている。

健保連の河本滋史常務理事は、給付と負担のあり方について、「介護給付費は、医療費の伸びを大幅に上回る伸びを示している。制度の持続可能性を担保していくためには、給付と負担のバランスをしっかりと確保していく必要がある」と指摘し、改革工程表に示されている現役並み所得者の基準の見直しや、補足給付のあり方等に関する事項を十分検討するよう求めた。さらに、今後の課題として「財政審でも議論となっている利用者負担の原則2割にすることについても検討する必要がある」と述べた。

また、40~64歳の第2号被保険者の範囲拡大については、「現役世代の負担増につながるものであり、慎重な議論が必要」と述べる一方、現在の高齢者の状況を勘案し、「将来的に被保険者範囲の見直しを議論する際には第1号被保険者のあり方も論点になるのではないか」との考え方を示した。

他の委員からは、被保険者・受給者範囲について、「現役の負担増となる見直しは避けるべき」、「(範囲の拡大は)現役世代の納得を得られない」、「高齢者の状況を考慮した検討が必要」などの意見があったほか、負担のあり方については、「介護費用が急激に増加するなかで、介護保険料でどこまで負担するのか」、「応能負担の検討が必要」などの意見も出された。

厚労省老健局の黒田秀郎総務課長は、被保険者・受給者範囲のあり方について、「制度発足時から議論されているテーマである。これから議論を進める際には、年齢区分をどうするかという前に、現行の〝高齢者の介護保険〟を維持するか、〝介護保険制度の普遍化〟をめざすのかという大きな議論が必要になるのではないかと考えている」と述べた。

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