健保ニュース
健保ニュース 2026年1月中旬号
介護保険部会が意見取りまとめ
2割負担拡大 結論持ち越し
伊藤常務「極めて遺憾」
社会保障審議会介護保険部会(部会長・菊池馨実早稲田大教授)は12月25日、「介護保険制度の見直しに関する意見」を取りまとめた。介護サービスの利用者負担を2割とする一定以上所得者の判断基準の見直しについて、同部会で引き続き検討し、令和9年度からの第10期介護保険事業計画期間の開始前までに結論を得るとした。24日の厚生労働、財務両相の折衝で合意した内容を反映した。
これまでの会合で厚労省は、一定以上所得の判断基準の見直しについて、年収を単身で230万~260万円の範囲に引き下げて2割負担の対象者を拡大し、負担増加額を当面抑える配慮措置を提案した。
もう一つの配慮措置として、2割負担に該当しても預貯金などが一定額以下の場合、1割負担に戻す案も示した。これらの提案を受け、同部会は7年内の合意を目指して議論を続けたが、反対論が根強く意見集約に至らなかった。
健保連の伊藤悦郎常務理事は、結論が先送りされたことについて、「介護保険制度の持続可能性を高めていく観点からも極めて遺憾だ」とし、「配慮措置を設けた上で、2割負担の対象範囲を最大限拡大する決定を8年に確実に行うよう強く要望する」と述べた。
また、軽度者(要介護1、2)への生活援助サービスの給付のあり方など、今回の意見取りまとめで「引き続き検討」とされた項目に加え、「2号保険料のあり方」や公費を含めた「介護保険制度全体の負担構造の見直し」も議論し、「第10計画期間の開始までに結論を得るよう、確実な実施をお願いする」と強調した。
中山間・人口減少地域
サービス提供を柔軟化
今回の意見取りまとめは、2040年を展望した介護保険制度の基盤整備に向けて、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」の3地域に分類し、地域類型に応じたサービスの方向性を示した。
地域類型の区分の考え方は、第10計画期間に向けた基本指針で示す。中山間・人口減少地域は今後、対象地域を特定するため、社会保障審議会介護給付費分科会などで議論し、国が一定の基準を示す。
高齢者人口が減少し、サービス需要の減少も想定される中山間・人口減少地域は、深刻なサービスの担い手不足を踏まえ、人員配置基準の柔軟化や介護事業者の連携強化を推進する仕組みを構築する。
現行の仕組みで介護サービスの提供に必要な指定基準を一部満たしていなくても、市町村などが必要と認める場合に特例介護サービス(基準該当サービス、離島等相当サービス)として柔軟なサービス提供を可能としている。
この特例介護サービスに中山間・人口減少地域に限定した新たな類型を設ける。具体的な要件は介護給付費分科会などで議論する。
新類型の特例介護サービスでは、在宅・施設サービスなどを対象とし、訪問介護は出来高報酬と包括的な評価(月単位の定額払い)を選択可能とする。
さらに、中山間・人口減少地域は、特例の仕組みを活用してもサービス提供を維持することが困難なケースが想定されるとし、「給付の仕組みに代えて、市町村が関与する事業により、給付と同様に介護保険財源を活用し、事業者がサービス提供を可能とする仕組み」を設ける。
この仕組みでは、国と都道府県が介護保険財源から市町村に必要経費を交付し、市町村が事業者にサービス提供を委託して事業費を支払うことを想定している。利用者ごとの個別の利用実績に応じた支払いではなく、事業の対価としての事業費(委託費)により支払うことで、利用者の増減の変化に対応しつつ、収入の予見性を高める。
給付に代わる新たな事業は、地域支援事業の一類型として実施する。財源構成は、現行の給付サービスと同様の負担割合で国、都道府県、市町村、1号保険料、2号保険料で賄う。
新たな事業費の総額は、保険財政規律を確保する観点から、他の地域支援事業と同様、高齢者の伸び率などを踏まえた上限額を設定する方針を示した。