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健保ニュース 2026年1月中旬号

8年度診療報酬改定率
本体3.09% 物価等対応で段階設定
実際の動向踏まえ加減算など調整

厚生労働、財務両相の折衝で、令和8年度診療報酬改定は、医療機関や薬局の経営原資となる本体改定率を8、9年度の平均でプラス3.09%と決めた。経済・物価動向などに対応して段階的に改定率を設け、8年度は2.41%(国費2348億円程度)、9年度は3.77%とした。実際の経済・物価動向が8年度改定時の見通しから大きく変動し、医療機関などの経営状況に支障が生じた場合は、一部の賃上げ・物価対応分について、9年度予算編成で加減算を含め必要な調整を行うこととした。

薬価はマイナス0.86%(同マイナス1052億円程度)、材料価格はマイナス0.01%(同マイナス11億円程度)の改定率に決まり、合計の薬価等はマイナス0.87%(同マイナス1063億円程度)。薬価は8年4月、診療報酬と材料価格は6月に施行する。

本体から薬価等を差し引いた全体の改定率は2.22%となり、全体がプラスとなるのは平成26年度改定以来、12年ぶり。

上野厚労相は折衝後の記者会見で、本体改定率が3.09%に決着したことについて、「医療関係者が大変厳しい経営環境にあり、また賃上げが求められている状況で、そうした部分にしっかり対応していくという方針の下、財務相と折衝を重ねてきたが、一定の理解をいただいた」と述べた。

賃上げ分は1.7%

8年度診療報酬改定は、賃上げと物価上昇への対応を重視した。
 本体3.09%のうち、賃上げ分に1.7%(8年度1.23%、9年度2.18%)を充てる。これにより、8、9年度それぞれ3.2%のベースアップの実現を図る。看護補助者と事務職員は5.7%のアップを目指す。施設類型ごとの職員の規模や構成に応じた配分とする。

賃上げ分1.7%のうち、0.28%は特例的な対応として確保し、6年度改定でベースアップ評価料の対象とされた職種に加え、入院基本料や初・再診料で賃上げ原資が配分された職種(40歳未満の勤務医・勤務歯科医・薬局の勤務薬剤師、事務職員など)の賃上げについても、実効性が確保される仕組みを構築する。

物価対応分は0.76%

物価対応分には0.76%(8年度0.55%、9年度0.97%)を充てる。このうち0.62%(8年度0.41%、9年度0.82%)は診療報酬に特別な項目を設定することで対応する。配分は病院0.49%、医科診療所0.1%、歯科診療所0.02%、保険薬局0.01%。病院は医療機能に応じて配分する。

0.76%のうち、0.14%は特例的な対応として、大学病院を含む高度機能医療を担う病院に配分する。特例的な対応を含めて物価対応分の多くを病院が占める。

また、6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分として0.44%を措置する。配分は病院0.4%、医科診療所0.02%、歯科診療所0.01%、保険薬局0.01%。

入院時の食費・光熱水費分は0.09%を確保。入院時の食費にかかる患者負担を1食あたり40円引き上げる(低所得者は所得区分などに応じて20~30円)。光熱水費の患者負担は1日あたり60円引き上げる(指定難病患者などは据え置き)。

このほか、マイナス0.15%分の適正化・効率化を実施する。後発医薬品への置き換えの進展を踏まえた処方や調剤の適正化、在宅医療・訪問看護の適正化、長期処方・リフィル処方の取り組み強化による効率化を内容とする。

本体改定率から賃上げ・物価対応分、食費・光熱水費、緊急対応分、適正化・効率化分を除いた通常分の改定率は0.25%。各科改定率は従前からの配分比率(医科1:歯科1.1:調剤0.3)に応じて、医科0.28%、歯科0.31%、調剤0.08%とした。

実際の経済・物価動向が大きく変動した場合の対応は、段階的に引き上げる賃上げ分(特例対応0.28%を除く)と物価対応分(特例対応0.14%を除く)、食費・光熱水費分について、9年度予算編成で加減算を含めて調整することとした。

このため足元の情報を正確に把握する必要から、8年度の医療機関の経営状況などを調査する。併せて、実際の経済・物価動向や経営状況などを踏まえた対応について、10年度以降の診療報酬改定のあり方も検討する。

8年度改定率の決定とは別に、「経営情報の見える化」を進めることも合意した。
 医療法人の経営情報データベース(МCDB)の活用については、データ分析を精緻化し、エビデンスに基づく改定が実施されるようにする。

例えば、▽診療所の費用項目は「その他の医業費用」の占める割合が高いが、その実態が把握できない▽職種別の給与・人数は法人によるデータ提出が任意となっている──などを課題に挙げ、10年度改定に向け、「その他の医業費用」の内容も含め、医療機関の経営実態を詳細に把握できるよう、МCDBと医療経済実態調査の報告様式の精緻化を検討する。8年度中に結論を得る。

医師手当事業
診療報酬による財源確保
10年度改定で結論

このほか、医師偏在対策の対応としては、外来医師過多区域で無床診療所の新規開業者が都道府県知事からの要請に従わない場合、診療報酬を減算する。

加えて、医師多数区域での診療報酬上のさらなるディスインセンティブのあり方や、重点医師偏在対策支援区域における医師手当事業(保険者らの拠出による支援)に関する診療報酬での財源確保のあり方について、10年度改定で結論を得るとした。

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