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健保ニュース 2026年1月中旬号

8年度予算案を閣議決定
社会保障費 過去最大の39兆円
制度改革で1500億円圧縮

政府は12月26日、一般会計総額が122兆3092億円となる令和8年度予算案を閣議決定した。政府全体の社会保障費(こども家庭庁などの所管分を含む)は過去最大の39兆559億円を計上した。薬価改定や高額療養費制度の見直しなどの制度改革で1500億円程度圧縮したが、高齢化で4800億円程度、8年度診療報酬改定における賃上げ・物価対応分などで2900億円程度増加し、7年度当初予算より7621億円(2.0%)増えた。高市首相は同日、記者団に対し、「診療報酬改定、介護報酬改定をはじめ、予算全体について、経済・物価動向等を適切に反映した」と述べた。政府は1月召集の通常国会に予算案を提出し、早期成立を目指す。

8年度の社会保障費は昨夏の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を踏まえ、制度改革・効率化の努力を継続し、実質的な伸びを高齢化による増加分におさめた上で、診療報酬改定における賃上げ・物価対応など経済・物価動向への対応分を加算した。

診療報酬の改定率は、医師らの人件費に充てられる「本体」部分が8、9年度の2年の平均でプラス3.09%(うち賃上げ対応1.7%、物価対応0.76%)となり、8年度は2.41%(国費ベース2348億円)、9年度は3.77%引き上げる。「薬価」などの部分は0.87%(同1063億円)引き下げ、本体と合わせた全体の改定率はプラス2.22%になった。

また、介護報酬は2.03%(同518億円)、障害福祉サービス等報酬は1.84%(同313億円)それぞれ引き上げる。いずれも9年度改定を前倒しで実施する。

こうした物価高対応などを織り込む一方、9年度の社会保障負担率(社会保険料÷国民所得)が7年度と比較して上昇しないよう、8~9年度に保険料負担の抑制に向けた社会保障制度改革を進める。

9年3月から、OTC類似薬など保険給付としての必要性が低い医薬品(77成分、1100品目)について、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として患者に追加負担を求める仕組みを導入する。これに長期収載品(先発品)を選んだ患者が追加負担している先発品と後発品の価格差の2分の1への引き上げなどを合わせた薬剤給付の見直し全体で、8~9年度に保険料負担を計1000億円程度軽減する。

また、長期療養者や低所得者への配慮を前提とした高額療養費制度の見直しにより、8年度は国費300億円程度を圧縮し、8~10年度で保険料負担を計1600億円程度減らす。

消費税増収分(5%→10%)を活用した社会保障の充実については、8年度の増収分(17.6兆円)の一部(2.4兆円)と社会保障改革プログラム法などに基づく重点化・効率化による財政効果(0.4兆円)を合わせ、前年度比1億円増の計2兆7987億円の公費を確保し、子ども・子育て支援、医療・介護、年金の各分野で実施する。

3制度の医療費国庫負担
2.7%増の10.6兆円

8年度の厚生労働省予算案の一般会計総額は、7年度当初予算比7369億円(2.1%)増の35兆433億円で、このうち同省所管の社会保障費は、7205億円(2.1%)増の34兆7088億円となった。

8年度予算案は、(1)社会の構造変化に対応した保健・医療・介護の構築(2)物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進(3)包摂的な地域共生社会の実現等──を柱に据えて編成した。

このうち(1)は重点事項として、「医療・介護・障害福祉分野の賃上げ、経営の安定、人材確保等」「地域医療・介護の提供体制の確保」「医療・介護分野におけるDXの推進、『攻めの予防医療』の推進等」「安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保」などを掲げた。

医療保険制度の運営確保には▽各医療保険制度などに関する医療費国庫負担(公費負担医療を除く)=10兆5566億円▽国民健康保険への財政支援=3071億円▽被用者保険への財政支援=1453億円──を充てる。

医療費国庫負担の内訳をみると、▽協会けんぽ=1兆2096億円(5億円減)▽国保=3兆1038億円(718億円増)▽後期高齢者医療=6兆2431億円(2074億円増)──で、3制度の合計で2787億円(2.7%)増加した。協会けんぽは、国庫補助に対する特例減額の控除額の時限的な引き上げがマイナス要因となった。

健保連・交付金事業
財政支援200億円増

被用者保険への財政支援は、7年度当初予算から200億円、13.8%増えた。内訳は、①高齢者医療特別負担調整交付金=200億円②高齢者医療運営円滑化等補助金=950.4億円③健康保険組合連合会交付金交付事業費負担金=300億円──。③の健保連が実施する高額医療交付金事業に対する財政支援を時限的に100億円から300億円に引き上げる。

社会保障の充実として実施する「被用者保険の拠出金等に対する支援」は前年度と同額の900億円を積んでおり、①の200億円、②のうち前期納付金などの平成23年度からの伸び率に着目した負担軽減分600億円、③の既存分100億円の合計となる。

一般会計における社会保障費の内訳は▽年金=13兆8231億円(7年度当初予算比2102億円、1.5%増)▽医療=12兆8350億円(同3648億円、2.9%増)▽介護=3兆7901億円(同527億円、1.4%増)▽雇用=1565億円(同5億円、0.3%増)▽福祉等=4兆1042億円(同923億円、2.3%増)──。

このほか、厚労省の特別会計予算案は▽年金特別会計=74兆4280億円(同2兆2494億円、3.1%増)▽労働保険特別会計=3兆4292億円(同1134億円、3.4%増)▽子ども・子育て支援特別会計(育児休業等給付勘定)=1兆966億円(同350億円、3.3%増)▽東日本大震災復興特別会計=95億円(同13億円、16.0%増)──を計上した。

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