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健保ニュース 2026年新年号

高額療養費専門委
8年夏、自己負担限度額引き上げ
見直しの「基本的な考え方」了承

高額療養費制度の在り方に関する専門委員会(委員長・田辺国昭東京大大学院教授)は12月15日、厚生労働省が示した「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方」を委員長一任で了承した。これを踏まえ、厚労省は「仮に見直しを実施する場合」と前置きし、1人あたり医療費の伸びへの対応を念頭に、令和8年夏に自己負担限度額を引き上げる考えを示した。住民税非課税の所得区分については、近年の年金改定率を考慮した見直しにとどめる。

年に4回以上高額療養費に該当した人の負担を軽減する多数回該当の上限額は据え置くが、年収200万円未満の人は引き下げる。

年間上限の導入や、加入する保険者が変わると多数回該当が引き継がれない仕組みへの対応は、今後の検討課題とした。

現行の所得区分は、住民税非課税を除き、各区分を3分割する。細分化後の自己負担限度額は、現在から著しく増加しないように設定する。

70歳以上の高齢者を対象とした外来特例の限度額については、年収80万円未満の区分のみ据え置き、それより上の区分は外来医療費の伸びを踏まえて引き上げる。対象年齢の引き上げも視野に入れる。

健保連の佐野雅宏会長代理は「基本的な考え方」に賛同した上で、外来特例について、「高額療養費制度の趣旨に合わないケースが混在しており、見直しは不可避であるため、着実に実行してほしい」と訴えた。

加入する保険者が変わると多数回該当が引き継がれない問題は「保険者としても課題だと認識している」と述べ、見直しの検討にあたり、保険者の実務的な課題への配慮を求めた。

また、医療の高度化や高額薬剤の普及により、高額療養費の増大が今後も続くと指摘し、「定期的な見直しや、見直しのルール化も含め検討が必要だ」と主張した。

天野慎介委員(全国がん患者団体連合会理事長)は、高額療養費制度の持続可能性確保に向けた自己負担限度額などの見直しに理解を示した。その上で、具体的な金額の決定にあたっては、「制度利用者やその家族に配慮し、仮に限度額を引き上げるとしても、相当程度抑制的な対応をお願いしたい」と強調した。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「高額療養費制度は全世代にとって極めて重要なセーフティーネットだ」とし、慎重な見直しを求めた。

特に外来特例について、創設当初から高齢者の受診率は下がったものの、現役世代に比べれば高水準だと指摘し、高齢者の特性を踏まえ、今後も維持するよう求めた。

田辺委員長は「次の作業は医療保険制度全体の中で、いかにバランスを取って高額療養費の見直しに対応するかに尽きる」と述べ、「基本的な考え方」を医療保険部会に報告する考えを示した。

厚労省は翌16日、「基本的な考え方」を公表した。専門委の共通認識である「医療保険制度改革全体の中で議論する」ことを念頭に、▽増大する医療費に対応するための自己負担限度額の見直し▽応能負担の観点からの所得区分の細分化と外来特例の見直し▽セーフティーネット機能強化のための多数回該当の限度額維持と患者負担の年間上限設定──を盛り込んだ。

見直しは国民や医療関係者への周知、保険者や自治体のシステム改修などの準備を考慮し、8年の夏以降、順次施行する。

このほか、高額療養費制度利用時の医療費や給付額の見える化や、加入する保険者が変わると多数回該当が引き継がれない課題、増大する医療費を医療保険制度全体でいかに対応するかという視点での高額療養費制度のあり方などについて、引き続き検討していくべきとした。

この取りまとめをもって、専門委は7年5月の設置以降、8回にわたる議論に区切りをつけた。患者団体や保険者、医療従事者、学識経験者からヒアリングを行うとともに、事例に基づく高額療養費制度利用者の経済的な負担のデータを示すなど、丁寧な合意形成を貫いた。

医療保険部会が他の改革項目も含め、どのような見直しを打ち出すかが注目される。

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