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健保ニュース 2026年新年号

医療保険部会
出産支援に現金給付を検討
「公費財源で実施」の意見目立つ

厚生労働省は12月12日の社会保障審議会医療保険部会に、出産に伴う妊産婦の経済的な負担の軽減に向けた現金給付を提起し、「医療保険制度の観点からの支援のあり方」の意見を求めた。現物給付とは別に支援を措置する必要性には多くの委員が理解を示したが、その財源には公費を充てるべきだとする意見が目立った。

同部会ではこれまでの議論で、分娩費用について現行の出産育児一時金を廃止し、現物給付化することで一致しているが、帝王切開など分娩に伴う保険診療については従来通り産婦に自己負担を求める方針だ。

一方、協会けんぽのレセプトデータによると、分娩の約8割で保険診療が行われており、その自己負担を無償化の範囲に含めるよう求める意見がある。なお、厚労省が提案した現金給付は、用途を保険診療に限定せず、全ての妊産婦に対し実施する考えだ。

健保連の佐野雅宏会長代理は「出産費用の給付体系の見直しによって妊産婦に新たな不利益が発生するなら、何らかの支援が必要だと理解できる」と述べた。一方、現金給付に対しては、保険料負担者の納得感や自治体の伴走型支援の給付との整合性を理由に慎重な検討を求め、「保険適用の範囲とは切り離し、公費で手当てすべきだ」と主張した。

その上で、新たな給付体系の構築に向け、出産育児一時金の使われ方や分娩費用の価格設定など「現在の取り扱いを整理した上で課題を解決すべきであり、そのためにも見える化を十分に行った上で進める必要がある」と指摘した。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)は分娩に伴う保険診療について、安全性の観点から「引き続き保険診療にすべき」とした上で、「標準的なケースの無償化とともに、保険診療の自己負担に活用できる現金給付が必要ではないか」と主張した。

中村さやか委員(学習院大教授)は、出産費用と一時金の差額を「制度の意図しない差額」と表現し、新たな給付体系に引き継ぐことに否定的な考えを示した。

一方、分娩に伴う保険診療は「医学的な判断で行われており、選択的なものではない」と指摘し、「出産に必要な医療利用には何らかの負担軽減が必要だ」と述べた。

新たな給付体系への移行
開始から多くの参画を

厚労省は前回の議論で提案した、準備ができた施設から新たな給付体系に移行するための方策について、さらに委員に意見を求めた。

新居日南恵専門委員(manma理事)は出産費用の無償化の早期実現を強調するとともに、「新制度に移行する施設が少ないと、実質的な先延ばしになる。段階的な制度にするとしても、新制度開始から可能な限り多く移行できるようにしてほしい」と述べた。

島弘志委員(日本病院会副会長)は新制度の一斉スタートを原則にするとの考えを強調した。

佐野会長代理は新制度に対応可能な施設から移行することに理解を示したものの、「保険者は新旧両制度の給付事務が発生する」と指摘し、保険者の意見も踏まえた検討を改めて求めた。

分娩対応の経費70万円

石渡勇専門委員(日本産婦人科医会会長)は出産費用の無償化の議論にあたり、地域で分娩を担う一次施設を維持する視点を強調した。

中規模の産科診療所では、分娩にかかる経費として、1分娩あたり70万~75万円必要になるとの試算を示し、これを念頭に給付水準を設定するよう求めた。

厚労省は給付水準について、具体的には「新たな給付体系を施行する際の出産費用の状況や各種データなどに基づき検討」するとしている。

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