健保ニュース
健保ニュース 2026年新年号
国民皆保険の継承へ
宮永会長 応能負担で支え合う制度に
加入者・事業主 理解醸成で「流れ変える」
健保連理事会
健保連は12月19日、第537回理事会を開き、令和8年度の事業計画と一般会計予算編成の基本方針などを審議した。冒頭にあいさつした宮永俊一会長は、国民皆保険制度を後世に引き継ぐため、「負担を将来世代に先送りせず、年齢に関わりなく全ての国民が能力に応じて負担し、支え合う持続可能な制度の実現に向けたさらなる改革が必要だ」と訴えた。そのためには、健保組合の加入者や事業主、国民の制度に対する理解を進め、「流れを変えることが最も大事だ」と強調。9月に発表した「『ポスト2025』健康保険組合の提言」を理解醸成の「重要な指針」に位置づけた。〈宮永会長の発言要旨は次の通り。〉
「ポスト2025」提言を指針
理事会の開会にあたり、一言あいさつを申し上げる。はじめに、10月の健康保険組合全国大会では、全国各地から来場とウェブにより、多数の方に参加いただき、さらに、理事各位と都道府県連合会の皆様には、多忙な時期にもかかわらず、協力いただいたことに厚くお礼申し上げる。
また、多数の国会議員にもご臨席を賜り、私たち健保組合の厳しい実情と、現役世代と国民皆保険制度を守るための改革への強い思いを込めた厚生労働大臣への決議を手交した。
今年は団塊の世代全てが75歳以上となる節目の年であったが、高齢者の人口がピークを迎える2040年代にかけて、高齢者医療費の増大とそれに伴う拠出金負担が一層増加し、医療の高度化・高額化と相まって、健保組合の厳しい財政を直撃すると見込まれている。
また、少子化に伴う現役世代の減少は、経済社会のあらゆる面に影響を与えている。現役世代が高齢者を支える仕組みである我が国の社会保障にとっては、その影響が特に大きく、このままでは支え手である現役世代の負担は限界を超え、医療保険制度の中核を担う健保組合も耐えきれず、その存続が危ぶまれる事態にもなりかねない。
このような危機に直面している中で、誰もが安心して必要な医療を受けることができる国民皆保険制度を後世により良い制度として引き継いでいくためには、負担を将来世代に先送りせず、年齢に関わりなく全ての国民が能力に応じて負担し、支え合う持続可能な制度の実現に向けたさらなる改革が必要だ。
全国大会後の特別企画でも申し上げたが、そのためには、健保組合の加入者や事業主、そして広く国民の皆様に医療費の仕組みや国民皆保険制度の素晴らしさ、さらには医療保険制度の厳しい現状について理解いただいた上で、全員が少しずつがんばり、流れを変えていくことが最も大事だと考える。
私たちがこのたび策定した「『ポスト2025』健康保険組合の提言」は、そのための重要な指針になると信じている。加入者・国民への「3つのお願い」、健保組合としての「4つの約束」、さらに「5つのチャレンジ」と、取り組みは緒に就いたばかりだが、スピード感を持って組織を挙げて実践していく。
また、国に対して求める制度改革についても、全国大会で訴えた決議とスローガンの実現を期して積極的に発信し、改革断行を求めていく。引き続き、皆様と力を合わせて国民皆保険制度を未来につなげていくための活動を共に継続していこう。
制度改革や診療報酬改定
予算編成などの行方を注視
高市政権が誕生し、与党の枠組みが自公連立から自民・維新連立に変わった中で臨時国会が閉会し、政府予算編成も大詰めを迎えており、医療保険制度改革の議論も佳境に入っている。
本日の報告事項にもあるが、制度改革の主な検討項目には、▽高額療養費制度の見直し▽OTC類似薬の取り扱い▽出産費用の現物給付化──など、極めて重い課題が山積している。 さらに、ここに来て政府による中小企業対策の一環として、協会けんぽを巡る動きも出ており、健保組合への影響も懸念される。
また、令和8年度診療報酬・薬価改定についても、近日中には政府において診療報酬等の改定率が決定される見通しだが、健保連としては、現役世代の保険料負担が限界に達している現状に鑑み、適正化とともに真にメリハリのある改定を求めている。その他の現在進行形の検討課題も含め、どのような議論がなされ、どのような決着をみるのか、注視していかなければならない。
また、現在、各健保組合では来年度の事業計画、予算編成の準備に取り掛かっていることと思う。子ども・子育て支援金の徴収業務が始まることで、事業主や加入者への説明などにも対応していることだろう。
政府予算案において、私たち健保組合の主張が反映され、現役世代、子育て世代の負担減につながる制度改革が確実に実行され、また、健保組合に対する財政支援がきちんと盛り込まれているかなど、引き続き予算編成の動向を入念に確認していく必要がある。
マイナ保険証が基本の仕組み
医療DX推進に不可欠
12月2日から従来の保険証ではなく、マイナ保険証を基本とする仕組みに完全移行した。現場の健保組合の皆様には、マイナ保険証の取得方法や資格確認書などについての問い合わせなど、多忙な業務に対応いただいていることと思う。
マイナ保険証の利用率は、完全移行を目前とした11月の実績で39.2%と、4割にも届かず、まだまだ低い状況だ。完全移行後の利用率はおそらく向上するとは思うが、患者側にも医療の提供側にも、そして医療保険者にもメリットのあるマイナ保険証を基本とする仕組みについて、さらなる周知徹底が必要だ。
国や自治体、医療機関、医療保険者など関係各所が一体となって、取り組みを継続していかなければならない。労働人口が減少していく社会にとって、マイナ保険証を基本とする仕組みは単なる制度変更ではなく、「医療の質と効率化を両立させる社会インフラ改革」であり、医療DXの推進に欠かすことができない。
私たち健保組合も国と一体となって、マイナ保険証の利用率向上に努めていきたいと思う。引き続き、皆様方の協力を重ねてお願い申し上げる。
本日の理事会は今年度の変更予算および来年度の事業計画、予算の基本方針などについて お諮りする。ぜひ理事各位の忌憚のない意見、議論をお願い申し上げる。
また本日は、今年最後の理事会である。本年一年も本会の運営に多大なる支援を賜ったことに厚くお礼を申し上げる。
来年は午(うま)年だ。馬は前に進む象徴として、発展、成長、努力の実りという意味もあるそうだ。国民の安心の礎である万人に平等な国民皆保険制度と、その中枢である健保組合の益々の発展、そして健保組合の皆様とご家族の健勝と多幸を祈念申し上げ、私からのあいさつとする。