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健保ニュース 2025年12月中旬号

診療報酬改定の基本方針を決定
重点課題 物価・賃金上昇への対応
現役世代の負担 「抑制努力」

厚生労働省は9日、令和8年度診療報酬改定の基本方針をまとめ、公表した。物価の高騰や賃金の上昇、医療従事者の人材確保など医療機関を取り巻く課題への対応を重点課題に挙げた。改定にあたっての基本認識では、「現役世代の負担の抑制努力の必要性」を指摘した。

厚労省は4日の社会保障審議会医療保険部会と8日の同医療部会に基本方針案を示し、両部会で大筋了承された。一部修正を両部会長に一任し、両部会長による調整を経て正式決定した。近く中央社会保険医療協議会の総会に報告する。

基本方針は医療保険、医療両部会の議論を踏まえ、8年度改定の基本認識や重点課題、充実が求められる分野など4つの視点に基づく具体的方向性を整理している。

基本認識の筆頭には「日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保、現役世代の負担の抑制努力の必要性」を掲げた。「現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性」などを踏まえつつ、地域の医療提供体制を維持し、患者が必要なサービスを受けられるよう措置を講じるべきだとした。

基本認識にはこのほか、「2040年頃を見据えた、全ての地域・世代の患者が適切に医療を受けることが可能かつ、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制の構築」「医療の高度化や医療DX、イノベーションの推進などによる、安心・安全で質の高い医療の実現」「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」を据えた。

「社会保障制度の安定性」でも、「現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性」を踏まえながら、効率的・効果的な医療政策を実現するとともに、国民の納得感を高めることが必要だと記した。

基本的視点は▽視点1=物価や賃金、人手不足などの医療機関などを取りまく環境の変化への対応(重点課題)▽視点2=2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進▽視点3=安心・安全で質の高い医療の推進▽視点4=効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上──の4つ。

重点課題である視点1は、具体的方向性として、医療機関が直面する人件費や医療材料費、委託費などの高騰を踏まえた対応と、賃上げや業務効率化・負担軽減などの業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取り組みを例示した。

視点2は患者の状態や必要な医療機能に応じた入院医療の評価など、視点3は小児・周産期医療など重点的な対応が求められる分野への適切な評価、視点4は後発医薬品・バイオ後続品の使用促進やOTC類似薬を含む薬剤給付のあり方の検討などを挙げた。

4日の医療保険部会で健保連の佐野雅宏会長代理は、「前回(11月20日)発言した部分について、相当取り入れられた」と評価しつつ、「『現役世代の負担の抑制努力』の『努力』が(主張通りに)削除されなかった点はやや残念だ」と話した。米川孝副会長も8日の医療部会で同様の意見を述べた。

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