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健保ニュース 2025年12月中旬号

財政審 予算編成に向け提言
医療費 70歳以上 自己負担3割
後期高齢者は金融所得勘案

財政制度等審議会は2日、令和8年度予算編成に関する建議(意見書)を片山財務相に提出した。現役世代の保険料負担を軽減するため、70歳以上の医療費の自己負担を現役世代と同様の3割にすべきだと提言した。後期高齢者の保険料負担についても、金融所得の勘案などで賦課ベースを拡大し、現役世代の支援金の負担割合を縮小することを求めた。

社会保障では「現役世代の保険料負担の軽減(抑制)」を目的とする改革案が並び、医療分野ではメリハリをつけた診療報酬改定と、医療保険制度改革における応能負担の徹底や薬剤の自己負担の見直しなどを訴えた。

建議は現役世代が払う保険料の多くが高齢者医療への支援に充てられているとし、「組合健保ではその割合が約47%に達する」と強調。高齢者医療制度の改革に早急に着手するよう求めた。

応能負担の徹底に向けては、高齢者の自己負担と保険料の見直しに加え、現役並み所得の判定基準の見直しや金融所得・金融資産の勘案などを盛り込んだ。

薬剤自己負担の見直しについては、OTC類似薬に限定せずに外来薬剤を広く対象にし、一定額の追加負担を求めることも含め、幅広い選択肢を検討し、早急に結論を得る必要があると指摘した。

また、医療保険制度の持続可能性を確保するため、外来受診時の定額負担を検討すべきだとした上で、「非効率な外来医療につながっている場合もある受診行動の変容を促すための有効な手段」と位置づけた。

診療報酬改定については、「日本経済の新たなステージへの移行が明確になる中での最初の改定であり、今後の道しるべとなる」と重視し、「経済・物価動向などへの対応と保険料負担の抑制努力を両立させるモデルを示すことが求められる」と明記した。

「経済・物価動向などへの対応」にあたっては、医療機関の経営データに基づき、医療機関ごとの費用構造や医療機能に応じたきめ細かな対応が必要だと指摘。「保険料負担の抑制」の観点からは、高度急性期・急性期を中心とする病院を重点的に支援するため、高い利益率を維持する診療所の報酬や調剤報酬の適正化が不可欠だと訴えた。

医療提供の効率化をめぐっては、今後の医療の質の評価のあり方として、アウトカム評価の導入・拡充とあわせ、職員の配置基準の緩和や柔軟化を図るとともに、出来高払いから包括払いへと診療報酬体系を見直すべきだとした。具体的な方策として、▽人員配置基準の適正化▽タスクシフト・シェアの推進▽リフィル処方箋の拡充──などを挙げた。

介護分野では「2割負担の対象者の範囲拡大を実現すべきだ」と提言した。利用者負担を「原則2割」とすることや、3割負担(現役並み所得者)の判断基準を見直すことも検討するよう求めた。また、現在は利用者負担がないケアマネジメントについて、利用者負担を導入すべきだと提言した。

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