健保ニュース
健保ニュース 2025年12月上旬号
後期高齢者「現役並み所得」
給付費公費投入 財務省に求める意向
維新税調 梅村会長
健保連の佐野雅宏会長代理らは11月21日、日本維新の会の税制調査会(梅村聡会長)に出席し、高齢者医療制度の見直しなど制度改革や予算に対する健保連の要望事項を説明した。後期高齢者の現役並み所得者の給付費には公費負担がなく、現役並み所得者が増えると、かえって現役世代の負担が重くなると指摘し、現役世代が肩代わりしている約5200億円に公費を投入するよう訴えた。
佐野会長代理らの説明を受け、梅村会長は「今日の話を聞いて一番大きかったのは、今のままで、維新が主張する応能負担の実現に向けて3割負担の対象を拡大すると、現役世代の保険料負担が増えるということだ」とし、「党として財務省に対し、公費投入を求めていく」と述べた。
岩谷良平幹事長は「話の内容には基本的に全て賛成だ。我々が目指す方向性とも一致する」と語った。
佐野会長代理は健保組合全体の令和6年度決算見込みと今後の財政見通しを説明し、現役世代の保険料負担を抑制するポイントとして、「給付と負担のアンバランスの解消」「年齢によらない、応能負担の実現」「保険給付の適正化・重点化」の3点を挙げた。
その上で、制度改革への要望では①高齢者医療制度の見直しなど②保険給付範囲の見直し③診療報酬改定──を掲げた。①は後期高齢者の現役並み所得者(3割負担)の範囲拡大・公費投入に加え、応能負担の強化や高齢者の定義(年齢区分)の見直しなどを求めた。
②はOTC類似薬の保険給付のあり方の見直しやセルフメディケーションの推進、費用対効果や経済性も考慮した医薬品選択の促進。③は医療提供体制の見直しにつながるメリハリの利いた財源配分が必要だとした。
予算への要望では▽高齢者医療費への拠出金の負担軽減など現役世代の負担軽減措置の継続・拡充▽「高額医療交付金交付事業」への国庫補助金の増額▽医療DXを活用した保健事業の取り組みに対する財政支援の拡充──を並べた。
全国総合健保組合協議会の森田章専務理事も総合組合の厳しい財政状況を訴えた。