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健保ニュース 2025年12月上旬号

総合経済対策を閣議決定
社保改革 金融所得反映を明記
年度内に法制上の措置

政府は11月21日、総合経済対策を閣議決定した。「年齢にかかわらず公平な応能負担の実現」に向け、高齢者の医療費の窓口負担や保険料に金融所得を反映させるため、「具体的な法制上の措置を令和7年度中に講じる」と明記した。来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

金融所得の反映による応能負担の徹底は、自民党と日本維新の会の連立政権合意書で「制度設計を7年度中に実現」すると盛り込んでおり、現在、両党の実務者協議で議論しているが、政府が法案提出に言及したのは初めてとみられる。

総合経済対策は①生活の安全保障・物価高への対応②危機管理投資・成長投資による強い経済の実現③防衛力と外交力の強化──の3本柱で構成。②では「未来に向けた投資の拡大」の一つとして「健康医療安全保障の構築」を掲げ、▽医療・介護DXの推進▽社会保障制度改革▽「攻めの予防医療」などの推進──を盛り込んだ。

社会保障制度改革では、現役世代の社会保険料負担を含む国民負担を軽減する方策として、金融所得の反映のほか、OTC類似薬を含めた薬剤自己負担の見直しを挙げ、「現役世代の保険料負担の一定規模の抑制につながる具体的な制度設計を7年度中に実現し、8年度に実施する」とした。

診療報酬改定にも言及し、「高度医療機能を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善の観点や、2040年頃を見据えた医療機関の機能に着目した分化・連携」などに留意して実施すると記した。

あわせて、自民と維新の合意書に盛り込まれた13項目を含む社会保障改革について、年度内に具体的な骨子を合意し、来年度中に具体的な制度設計を行い、順次実施するとした。

医療・介護DXの推進では、電子カルテ情報共有サービスの普及を図るほか、電子カルテの標準化を進めつつ、廉価なクラウド型電子カルテの開発・普及を促す。電子処方箋については、普及拡大をさらに進めるため、機能拡充への支援や機能改善などを実施するとともに、医療機関や薬局、国民に向けた効果的な周知広報を展開するとした。

「攻めの予防医療」などの推進では、▽生涯を通じた歯科健診の推進▽がんの精密検査未受診者への個別勧奨の徹底▽レセプトデータなどを活用した予防・健康づくり、データヘルス、保健事業に取り組む保険者への支援▽女性特有の健康課題への対応の推進──などを並べた。

経済対策全体の規模は一般会計歳出が17.7兆円程度。減税分などを含めて21.3兆円程度と見込む。政府は財源の裏付けとなる今年度補正予算案の年内成立を目指す。

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