健保ニュース
健保ニュース 2025年6月下旬号
維新・前原氏、「社会保障国民会議」を提案
首相「議論の場、絶対必要」
石破首相(自民党総裁)は11日の通常国会最後の党首討論で、日本維新の会の前原誠司共同代表から、少子化対策や年金制度の見直しなどを議論する「社会保障国民会議」の設置を提案され、「議論の場は絶対に必要だ」と答えた。
前原氏は、党を挙げて社会保険料を引き下げ、手取りを増やす方針を徹底する考えを明確にした上で、令和8年度から徴収が始まる子ども・子育て支援金に言及。児童手当の拡充や妊婦の支援などの用途と、子どもを社会全体で支える政府の考えには賛同した。
一方、子ども・子育て予算が増えたにもかかわらず、出生数が減っていると指摘し、「効果が出ていないのに負担は当然だと言われても、納得できないのは当たり前だ」と断じた。
その上で、「賃金が上がらないのに社会保険料を上げるのは、少子化対策に逆行している」と述べ、子ども・子育て支援金の財源に保険料を充てることを見直すよう迫った。
これに対し、石破首相は「この支援金が実質的に国民の負担になってはならない」と述べ、「令和10年度までに1兆円規模の歳出改革を行う。社会保険料の上昇も抑える」「改革工程に沿って、毎年、改革を実行している」などと強調した。
また、社会保障改革に関する公明、維新との3党協議で合意した病床削減や電子カルテの普及促進についても、「国民の負担にならないよう努める」と述べた。
これを受け、前原氏は少子化対策や年金制度の見直しを議論する「社会保障国民会議」の設置を提案。「政府、与党にだけ責任を押し付けるのではなく、我々も責任を負う」と述べ、「もう一度議論しようではないか」と呼びかけた。
これに対し、石破首相は「そのような議論の場は絶対に必要だ。議論の場を作るため、引き続き提案を賜りたい」と応じた。
このほか、前原氏は社会保障改革に関する3党協議が、この日の討論の直前に合意に至ったことに謝意を述べるとともに、引き続き協議を続けることを確認した。
「社会保障の大切な財源」
消費減税を否定
石破首相は11日の党首討論で、消費税の減税に否定的な考えを示した。立憲民主党の野田佳彦代表への答弁。
首相は「社会保障の大切な財源である消費税を本当に今、下げていいのか」と述べたほか、対応にかかる時間やコスト、消費税の逆進性も問題視し、「消費税を下げる方策には賛同しかねる」と反論した。
野田氏は「臨時、時限的に食料品の消費税率をゼロにすることが、今まさに食費の高騰で困っている国民を助ける唯一の道だ」と強調。控除される税額が納付する税額を上回る人に現金を給付する給付付き税額控除の導入を目指しながら、実現までの間、食料品の消費税率をゼロにし、より早く必要な対応として、「食卓おうえん給付金」で1人当たり2万円を給付する三段構えの政策を提唱した。
立民はこれらの政策を参院選の公約の柱に据えている。民主党政権時に首相として社会保障と税の一体改革を推進した野田氏は、「七転八倒し、苦しみながらも決断した」と明かした。