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健保ニュース 2025年6月下旬号

自公維、国民負担軽減目指し合意
社保改革6項目 骨太の方針へ反映
OTC類似薬見直し年内検討

自民、公明両党と日本維新の会は11日、社会保障改革による国民負担の軽減に向け、OTC(医師の処方箋なしで購入できる医薬品)類似薬の保険給付のあり方の見直しなど6項目について、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させる方針で合意した。3党は引き続き、社会保障改革に関する協議を続ける。OTC類似薬の見直しは、年末までの予算編成過程で検討し、早期に実現可能なものについて令和8年度から実行すると明記した。

3党の幹事長と政務調査会長、実務者の代表が同日、国会内で会談し、合意文書に署名した。

骨太の方針に盛り込むのは、▽OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し▽新たな地域医療構想に向けた病床削減▽医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現▽地域フォーミュラリの全国展開▽現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底▽生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進──の計6項目。

このうち、病床削減と医療DXの2つは、先行して6日に実務者間で合意していた(本誌6月中旬号№2399既報)。

応能負担の徹底については、医療・介護保険の負担への金融所得の反映を検討する。保険者が金融機関などからの情報を基に金融所得を把握することを想定し、負担の公平性や関係者の事務負担に留意しながら具体的な制度設計を進める。併せて、現役世代の後期高齢者支援金の負担軽減に配慮するとした。

合意文書の「附属書」は、維新が現役世代の社会保険料引き下げに向けて提起する21個の改革項目について、今後の3党協議で議論するよう自公両党に促す位置づけで、今回の合意事項には含まれない。

協議は、2月25日の3党党首会談における7年度予算案の修正に関する合意に基づくもので、維新は予算案に賛成する条件として、高校授業料の無償化に加え、社会保障改革の実現を求めていた。3月から実務者協議を開始したが、維新が主張するOTC類似薬の保険適用除外や病床の具体的な削減数、効果額で折り合いがつかず、議論は平行線をたどった。

今回の合意は、OTC類似薬の見直しについて「医療機関における必要な受診を確保」すること、病床削除について「調査を踏まえて削減を図る」ことを条件に、与党側が譲歩した格好だ。

合意後、自民の実務者を代表して署名した田村憲久元厚生労働相は記者団に対し、「国民の健康を守ることが前提だ」と強調し、年4兆円の医療費削減を目標に掲げる維新に対し「そこは十分に理解していると思う」とけん制した。

病床の削減数と医療費削減効果の試算については、あくまで「維新の判断」だという姿勢を崩さず、「地域や自治体と相談した上で削減計画を立てなければならない」とくぎを刺した。

維新の実務者代表の猪瀬直樹氏は、実務者協議と衆参の所管委員会での議論を経て、野党の主張を与党の政策に盛り込ませたことについて、「国の政策決定の見本になる」と述べ、成果を強調してみせた。

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