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健保ニュース 2023年8月合併号

柔整療養費オンライン請求導入へ
委員会が検討の方向性等を了承
幸野参与 審査・支払は保険者裁量で

社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部教授)は7月13日、柔道整復療養費のオンライン請求導入等に関する検討の方向性(案)と今後の進め方(案)を了承した。

この日の会合では、「柔道整復療養費のオンライン請求導入等に関するワーキンググループ」で整理された、①基本方針②基本的事務フロー③審査のあり方④過誤調整の取扱い⑤署名・代理署名の取扱い⑥紙請求等の取扱い⑦オンライン請求システムの構築⑧電子請求様式等⑨施術所管理⑩電子申請書(請求書)管理⑪予算及び維持経費等の見込み⑫オンライン請求システム開発スケジュール等─の検討項目にもとづき、オンライン請求導入に関する検討の方向性について確認を行った。

①は、オンライン請求の導入は、現行の公的医療保険制度における療養費制度の枠組みのなかで実施することを前提に、療養費の施術管理者への確実な支払いや、請求代行業者等による不正行為の防止等を目的として推進していくことなどを論点として整理。

④は、審査支払機関や保険者の業務負担軽減などの観点から、療養費における過誤調整のあり方についてさらに検討していく必要があるなどとした。

健保連の幸野庄司参与は、②の請求、審査、支払の事務フローのあり方および決定権者等について、「健保法第87条にもとづき、療養費の審査・支払の決定や、審査業務の委託についての判断はあくまで保険者裁量によるものが絶対条件」との考えを示し、審査・支払の決定や審査業務の委託における判断を、オンライン請求の導入以降も引き続き保険者の権限とするかどうかを論点に加えるよう要望。

⑪については、オンライン化の初期費用は国が負担すべきと主張するとともに、「療養費の確実な支払いなど、オンライン化は施術者にもメリットがあることを考慮したうえで、ランニングコストの扱いを決めていくべき」との考えを示した。

今後の進め方については、令和6年度中のオンライン請求導入の基本方針の決定をめざし、提示された12項目の検討課題を関連性の強い項目で3グループ程度にまとめたうえで、ワーキンググループにおいてそれぞれ検討を進めていくこととした。

あはき専門委員会
6年の次回改定へ
基本的考え方を提示

厚生労働省は7月14日に開かれた、社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部教授)に、令和6年改定の基本的な考え方を示した。

示された基本的な考え方では、①往療料の距離加算の廃止②離島や中山間地等の地域に係る加算の創設③往療料の見直し及び訪問施術料(仮)の創設④料金包括化の推進─など6項目。こうした項目については、4年の改定において6年改定に向けて検討を行うとしていた。

現行の往療料については2300円で、往診までの距離が4㎞を超えた場合2550円となる。今回示された考えでは、4㎞を超えた場合に設定されていた往療料を廃止し、廃止により生じた財源を、②の施術料や離島や中山間地等への施術料の加算に振り替える方針を示した。

また③往療料の見直しについては、その支給要件から「定期的・計画的に行う場合」を外し、「往療料」と新たに整理した「訪問料(仮)」の取り扱いを明確にしたうえで、「施術料」と「訪問料(仮)」を包括した「訪問施術料(仮)」の導入を検討する考えを示した。

健保連の幸野庄司参与は、①の往療料の距離加算の廃止は既定路線であるため、次回改定時に必ず行うべきと指摘したうえで、②の離島や中山間地等の地域に係る加算の創設については、対象地域に所在する施術所数や人口との比率などのデータが議論の前提となるため、早期に作成するよう求めた。

また④の料金包括化の推進については、療養費の原則である健保法第87条の趣旨から逸脱していると明確に反対する姿勢を示した。

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