HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2023年6月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2023年6月中旬号

被用者保険適用拡大や年収の壁等
年金部会 次期制度改正の議論に着手

社会保障審議会年金部会(菊池馨実部会長)は5月30日、今後の議論の進め方と次期制度改正に向けた検討事項を確認するとともに、改正に向けた検討事項の1つとして、「被用者保険の適用拡大」をテーマに議論を行った。

公的年金は5年ごとに財政検証を行い、人口推計や経済見通しなどの変化を踏まえつつ、給付内容や保険料水準を見直している。

厚生労働省はこの日の会合で、年金部会における議論の進め方(案)と次期制度改正に向けた主な検討事項(案)を提示。

議論の進め方については、引き続き公的年金のそれぞれの課題について各論的な議論を行い、令和6年1月には「年金財政における経済前提に関する専門委員会」が取りまとめる「基本的な考え方」について経過報告を受けるとともに、オプション試算についての議論を開始。

6年春には専門委員会から「議論のとりまとめ」の報告を受ける。同年夏に財政検証結果の報告および改正内容について議論を進め、同年末に年金部会の取りまとめを行う方針を示した。

また、次期制度改正に向けた主な検討事項案では、①総論的な事項②現役期と年金制度の関わり③家族と年金制度の関わり④その他の高齢期と年金制度の関わり─を柱に議論を進めていくこととした。

このうち、②は、▽被用者保険の適用拡大(勤労者皆保険)▽子育て支援等▽障害年金▽標準報酬月額の上限─などについて検討。

また、③は、女性の就労の制約と指摘される制度等や第3号被保険者制度などに関する検討を進めていく。

この日の会合で検討に着手した被用者保険の適用拡大についての議論では、短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃や個人事業所の非適用業種の解消などが主な論点となった。

委員からは、雇用のあり方に中立的な制度としていく観点から、被用者保険の適用拡大を推進すべきとの意見が多数あったほか、「適用拡大に伴う事業主の負担増に関するヒアリングを行うべき」などと指摘された。

また、適用拡大に伴い、就労を回避するような就業調整が生じているなど、いわゆる「年収の壁」についての実態を指摘する声が多かったことを踏まえ、厚労省は今後、「年収の壁」を各論のテーマの1つとして、検討を進めていく考えを示した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年