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健保ニュース 2023年4月上旬号

医療保険部会がロードマップを了承
6年度以降 原則オンライン請求に

社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は3月23日、医療機関・薬局によるオンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップを大筋で了承した。

令和5年度中に請求省令(「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令」)を改正し、6年4月から▽光ディスク等▽紙レセプト─による請求の新規適用を終了する。

6年3月末時点における光ディスク等請求機関は、6年9月までに原則としてオンライン請求へ移行することとする、半年間の経過措置を設ける。経過措置の終了時期は、紙による返戻再請求や健康保険証を廃止する時期を意識し、設定した。

なお、経過措置終了後も光ディスク等による請求を続ける機関(レセコンを保有していないが、外部委託により光ディスク請求を実施する機関など)については、届出とともにオンライン請求への移行計画の提出を求めることとし、1年単位での経過的な取り扱いとする。

紙レセプト請求機関は、現在認められている事由のうち、高齢医師等を理由とする場合は、既に新規適用が認められていない。これとあわせてレセコン未使用の場合も新規適用を終了する。6年4月以降も紙レセプト請求を続ける医療機関・薬局は、改めて当初の要件を満たしている旨の届出を提出することとした。

オンライン請求の導入にあたり、医療機関等は審査支払機関と接続するための回線が必要となるが、同様の回線を使用するオンライン資格確認の導入が5年4月から原則義務化されることにより、光ディスク等で請求している医療機関等は回線を準備する必要がある。また、オンライン資格確認の導入を要件とする診療報酬上の加算について、オンライン請求を5年末までに開始する場合も算定を可能とする要件緩和を行う。こうした環境変化を含め、オンライン請求に係る周知広報を5年末にかけて集中的に行うこととする。

なお、請求形態ごとの医療機関等数および件数は、支払基金の5年1月処理分によると▽オンラインが15万3845機関(全体の70%)、9720万件(同86%)▽光ディスク等が5万9588機関(同27%)、1599万件(同14%)─となっている。一方、紙レセプトによる請求状況は免除・猶予の理由別にみると▽手書きでレセプト作成している場合が5624機関(同2.5%)、31万件(同0.3%)▽電子請求の義務化時点で医師等が65歳以上である場合が2101機関(0.9%)、18万件(0.2%)─などとなっている。

佐野副会長がオン請求で
強い方針による実行を期待

健保連の佐野雅宏副会長は、オンライン請求の促進は、医療の質の向上、効率的・効果的な医療の実現、さらに医療保険事務全体の効率化につながる非常に重要な問題と指摘。健保組合において再審査申し出のオンライン化を短期間で進めた実績を紹介するとともに、政府に対し、極力早い時期にオンライン請求を100%にしなければならないという強い方針にもとづく具体的な提案、実行を期待した。

あわせて具体的な施策として、▽医療機関のオンライン請求、オンライン資格確認の対応状況について、広くわかりやすく公表▽移行が順調に進捗する場合、光ディスク等の請求機関およびレセコン未使用の紙レセプト請求機関の新規適用を前倒しで終了▽出産育児一時金の直接払いにかかる申請のオンライン化やマイナポータルでの出産費用情報の提供─などを要望した。

このほか、同日の会合には▽マイナンバー法等の一部改正法案▽「第8次医療計画等に関する検討会」における新興感染症発生・まん延時における医療に関する意見のとりまとめ─について報告があった。

佐野副会長は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向け、「運転免許証等と同様に、国民が安心してマイナンバーカードを常に持ち歩くことができるようにすべき」と強調。他省庁も含めた国全体や自治体、企業、保険者などの関係機関が一体になって、大々的に周知広報していく必要があると指摘した。

また、保険証廃止後の資格確認書に関して、発行する保険者に事務負担およびコストがかかることを踏まえ、保険者の意見を聴取し、課題を的確に把握したうえで進めるよう要請した。

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