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健保ニュース 2022年12月上旬号

第4期医療費適正化計画の見直し
後発品使用促進へフォーミュラリ
新目標にリフィル処方箋等

厚生労働省は、令和6年度から11年度を期間とする「第4期医療費適正化計画」の見直しの方向性をまとめ、11月17日の医療保険部会に提案した。

厚労省は、①現行目標のさらなる推進②新たに取り組むべき目標③取り組みの実効性を確保する体制の構築─に論点を整理。

このうち、①は、現行の目標である▽後発医薬品の使用促進▽重複投薬・多剤投与の適正化▽特定健診・保健指導▽入院医療費の取り扱い(地域医療構想との関係)─をさらに推進する。

後発品の使用促進は、医薬品の適正使用の効果も期待されるフォーミュラリ等に取り組むほか、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の議論や今年度中に設定するバイオ後発品の目標設定を踏まえ、後発品の使用促進に関する新たな数値目標を設定するとした。

重複投薬・多剤投与の適正化は、5年1月に運用が開始される電子処方箋の活用を推進することで、さらなる取り組みを推進するとともに、第3期で15種類以上を基準とした多剤投与について、調剤報酬で6種類以上という基準を用いていることを踏まえ対象を広げる。

特定健診・保健指導は、6年度からはじまる第4期に向けて、特定保健指導へのアウトカム評価の導入や、保健指導の効果の見える化による成果の公表、ICTの活用等による実施率の向上に取り組む。

入院医療費は、現行の医療計画(地域医療構想)にもとづく病床機能の分化と連携の成果を反映させることとし、2025年以降の検討状況を踏まえ、推計方法を見直すこととした。

他方、②は、▽複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供▽医療資源の効果的・効率的な活用─を新たな目標として設定。このうち、医療資源の効果的・効率的な活用は、リフィル処方箋について、地域差の実態等を確認したうえで必要な取り組みを進める。

厚労省は、有識者による検討体制を近く発足させ、エビデンスを継続的に収集・分析し、都道府県が取り組める目標・施策の具体的なメニューを提示するとした。

③は、▽保険者・医療関係者との方向性の共有・連携▽都道府県の責務や取り得る措置の明確化─により、実効性確保のための体制を構築する。

都道府県は、医療費見込みを著しく上回る場合や計画目標を達成できない場合に、保険者・医療関係者に対する協力要請があることを明確化するとともに、具体的に例示することとした。例えば、後発品の使用割合が低い保険者に対して、改善のための方策を提出するよう要請し、取り組みを推進していく。

また、医療費見込みについては、医療費適正化の意義・方向性を関係者と共有できるよう、▽新たな目標にかかる取り組みによる適正化効果額を見込む▽年度毎・制度区分別(国保、後期、被用者)に見える化する─など精緻化を図ることとした。

健保連の佐野雅宏副会長は、「現行目標のなかで最も重要な取り組みは重複投薬・多剤投与の適正化であり、さらなる推進に向け電子処方箋の活用が極めて重要となる」との考えを示し、医療機関、薬局における導入促進や、国民に対するPRにしっかり取り組むよう厚労省に要望した。

さらに、新たに取り組むべき目標として、保険給付範囲の見直しを今後の検討課題とするよう訴えた。

藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)は、「リフィル処方箋は医療費削減効果に加え、患者は時間や費用の効率化、医療機関等は医療提供資源の有効活用が可能となるなど多くのメリットがある」と指摘し、リフィル処方箋の普及拡大に向けた取り組みを強力に推進する必要があるとした。

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