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健保ニュース 2022年8月合併号

4年10月以降の看護処遇改善
中医協 入院料に上乗せで対応へ
8月上旬の答申へ詳細検討

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は7月27日の総会で、令和4年10月以降、診療報酬で対応する「看護の処遇改善」に向けて、具体的な点数設計や算定要件について議論した。

点数設計については、支払側、診療側とも100種類に細分化した点数を入院料に上乗せする「モデル①─2」を支持。高い必要点数となる医療機関には、1点刻みの点数設計とする支払側に対し、診療側は幅を持たせた点数設計を主張した。

後藤茂之厚生労働相は同日付で、「看護の処遇改善」にかかる4年度診療報酬改定案について中医協に諮問。中医協は8月上旬の答申をめざし、点数設計や算定要件の詳細を固める。

「看護の処遇改善」については、今年の4月以降、入院・外来医療等の調査・評価分科会で診療報酬による評価方法の検討や、シミュレーション、特別調査などデータ分析にもとづく議論を進めてきた。

中医協では、100種類に細分化した点数を入院料に設定する「モデル①─2」や、入院料に加え15種類に細分化した点数を初・再診料に設定する「モデル③─2」のバラツキが少なく、「必要額を過不足なく配分するという観点から選択肢に上がる」などと指摘されていた。

他方、看護職員を手厚く配置している▽三次救急医療施設▽こども病院▽周産期母子医療センター─では、必要な設定点数が「100点」を超える状況も明らかになった。

この日の会合では、厚生労働省が「看護の処遇改善」について、①シミュレーション結果を踏まえた点数設計のあり方②医療機関の適格性および点数設定にあたっての頻度と実績の期間③看護職員等処遇改善事業補助金の取扱いも加味した処遇改善にかかる要件─を論点として提示した。

論点①について、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「入院料を100種類に細分化したモデル①─2が最も適切である」と言及。

また、必要な設定点数が高くなる医療機関についても、「必要額が確実に賃金に反映されるべき」と指摘したうえで、「患者数の変動などに対応する手間も踏まえると、5点刻みや10点刻みとする、ある程度の幅を持たせた点数設計を検討しても良い」との考えを示した。

健保連の松本真人理事は、「過不足や患者の負担などを総合的に考慮すると、モデル①─2を軸にしつつ、細かい項目は改めて協議する必要がある」と主張。

必要な設定点数が高い医療機関については、「補助金からの円滑な移行と過不足を最小化するという2つの目的を達成するため、最高得点まで1点刻みとする点数設計も考えられる」と述べた。

論点②に対しては、支払側、診療側とも、▽医療機関の適格性の判定に用いる期間は、「前々年度1年間の実績」▽点数設定の頻度と実績期間は、「3月毎に直近3月もしくは6月の実績」▽届出変更・点数再設定の基準は、「看護職員数や患者数の変動が1割以上」─が妥当との見解で概ね一致。

論点③には、松本理事が、賃金改善の計画書と実績報告を厚生局が確認できる仕組みで運用する必要があるとした。

後藤厚労相は同日付けで中医協に対し、昨年末の4年度予算編成過程で決定された改定率等にもとづいて、「看護の処遇改善」にかかる4年度診療報酬改定案を作成するよう諮問した。

4年度診療報酬改定では、「看護の処遇改善」のための特例的な対応として、本体改定率(0.43%)のうち「0.2%」を充当。4年10月以降、収入を3%程度(月額平均1万2000円相当)引き上げるための診療報酬上の仕組みを創設するとされた。

中医協は、「看護の処遇改善」にかかる診療報酬点数の設計や算定要件の詳細を固め、8月上旬を目途に後藤厚労相に答申する。

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