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健保ニュース 2022年6月下旬号

「規制改革実施計画」を閣議決定
オンライン診療の一層の推進へ
医療関係は「答申」を踏襲

政府は7日の臨時閣議で、「規制改革実施計画」を閣議決定した。社会経済の構造改革を進めるうえで必要な規制のあり方の改革推進をめざす。医療関係では、規制改革推進会議が5月27日に、内閣総理大臣に提出した「答申」をそのまま踏襲。在宅での医療や健康管理の充実を図る観点から、オンライン診療・服薬指導のさらなる推進に向けた措置などを盛り込んだ。

実施計画は規制改革推進会議の答申をもとに、デジタル臨時行政調査会、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース等における取り組みおよび国家戦略特別区域、規制のサンドボックス制度を活用した取り組みを加え、取りまとめた。重点的に規制改革を進めていく個別分野は、▽医療・介護・感染症対策▽スタートアップ・イノベーション▽人への投資▽地域産業活性化▽デジタル基盤▽グリーン─の6分野。答申の5分野に新たに加えた「グリーン」分野では、再生可能エネルギーに関する規制を見直す。

6分野のうち医療・介護・感染症対策は、答申の内容がほぼそのまま取り込まれた。オンライン診療は、新型コロナウイルスの感染拡大前、初診の患者は不可とされ、再診においても対面診療との組み合わせが必要といった制約が設けられていたうえ、診療報酬は対面の半分未満だった。オンライン服薬指導も初回は不可とされ、オンライン診療の受診者などに限られていた。新型コロナウイルスの感染拡大を期に設けられた特例措置では、こうした制約を取り払ったうえ、診療報酬も引き上げた。昨年6月の規制改革実施計画では4年度から順次、特例措置を恒久化する方針を打ち出し、4年1月のオンライン診療指針の改訂でそれが実現された。

厚生労働省においては、今般の見直しを踏まえ、さらにオンライン診療を推進するため、各種の措置を実施していく。直近では4年度上期に、オンライン服薬指導について、実施可能な薬剤師や患者および対象薬剤を限定せず、薬剤師の判断で実施できるようにする。また、不適切な診療が広まれば患者が二の足を踏み普及の足かせとなりかねないことから、不適切な診療に対しては、周知を4年に、患者の安全確保を4年度に措置する。

オンライン診療基本指針の策定、要指導医薬品のオンライン服薬指導も4年度の措置とされ、オンライン診療の推進に向けた多くの改革項目が4年度に完了する一方、システムへの依存度が高いセキュリティ、本人確認、自宅以外の場所での受診については、検討を進めていき、今年度中に結論を得ることとされている。

規制の見直しは、医療機関だけでなく、家庭にも及ぶ。近年保険者による保健事業で活用が進んでいるスマートウォッチをはじめとする家庭用医療機器について、バイタルデータをもとに、り患している疾病名や将来り患する可能性のある疾病名を表示するガイドラインを作成する。事業者が抱える、疾病名の表示可否が不明確なことに起因して医師の専権業務に抵触するのではないかとの不安を払拭するのが狙い。

このほか、薬剤師の対人業務を強化するために、対物業務を外部委託することや、医薬品などの治療のアウトカムを把握するために、NDBと死亡情報を連結解析すること、一般用医薬品の店舗販売業の許可要件を緩和することなどを検討すると明記した。

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