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健保ニュース 2022年6月上旬号

医療DX令和ビジョン2030
自民PT 保険者負担の軽減など提言

自民党の社会保障制度調査会・デジタル社会推進本部健康・医療情報システム推進合同PT(平井卓也共同座長)は5月17日、医療分野の情報のあり方を根本から解決するための提言、「医療DX令和ビジョン2030」を取りまとめた。

提言は、①全国医療情報プラットフォームの創設②電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)③診療報酬改定DX─を同時並行で進めることにより、患者・国民の費用負担の増加を抑えつつ、健康寿命を延伸するなどのメリットを享受できると訴えた。

このうち、①は、オンライン資格確認等システムのネットワークを発展的に拡充し、レセプト・特定健診情報に加え、ワクチン等の予防接種、電子処方箋情報、電子カルテなど、医療全般にわたる情報について共有・交換することを可能とする。

「全国医療情報プラットフォーム」の基盤となるオンライン資格確認等システム導入について原則、義務化することや医療機関等へのさらなる導入支援策を含め、実現に向けた効果的な施策が必要とした。

このほか、マイナンバーカードによる電子署名の活用など技術的な検討に加え、費用負担のあり方の整理が必要と明記した。

また、②は、国際標準となりつつある「HL7FHIR」を活用し、共有すべき項目の標準コードや交換手順を厚生労働省が定め、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書の3文書・6情報を対象に順次情報を拡大する。

電子カルテ普及率の目標値は、2026年までに80%、2030年までに100%とした。
 患者自身が自らの医療情報を誰が閲覧したか確認できるようにするとともに、閲覧させたくない情報などの管理を可能とすること、最終的にはどの医療機関でもカルテ情報が共有されるようにすることを留意事項として盛り込んだ。

③は、デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、SE人材の有効活用や費用の低廉化をめざす。厚生労働省や審査支払機関など関係者で協議し、開発主体・体制、費用負担のあり方を含め対応方針を検討し、今年度中に結論を得るとした。

関係者が協力し、各ベンダ共通のものとして活用できる診療報酬にかかる「共通算定モジュール」をデジタル庁のサポートも得て作成。また、4月となっている診療報酬改定の施行日を後ろ倒しし、作業集中月を解消する。

さらに、レセプト請求、医事会計など医療機関等の業務システムのDXを通じて、医療保険制度全体の運営コスト削減、保険者負担の軽減につなげると明記した。

①~③の取り組みについては、2030年に完成した姿となっていることをめざし、進捗状況を検証したうえで、組織のあり方や権限の充実を図る。

実践できるかどうかが鍵と強調し、総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」の設置を政府に要望。この下に、厚労省、デジタル庁、総務省、経済産業省による省庁横断的なチームを設けることも求めた。

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