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健保ニュース 2022年4月中旬号

骨太方針や予算概算要求に反映
健保組合・健保連が重点政策を要望
自民党皆保険議連 近く政府に実現を申し入れ

自民党の「国民皆保険を守る国会議員連盟」(鈴木俊一会長)は3月29日、参議院議員会館で第4回総会を開き、今夏の「骨太の方針2022」と「令和5年度政府予算概算要求」に向けた健保組合・健保連の政策要望を聴取した。健保連の佐野雅宏副会長は、健保組合の財政構造の問題点として、支出の半分近くは高齢者への仕送りであり、本来の社会保険の役割である加入者への給付は半分程度となっていると指摘。さらに、団塊の世代が全て75歳になる2025年にかけて状況はより深刻化すると見通した。そのうえで、①コロナ禍を踏まえた国民が安心できる安全で効率的な医療の実現②現役世代の負担軽減と世代間の公平性確保③健康寿命の延伸に向けた保健事業のさらなる推進④健保組合の安定運営に向けた当面の取り組み─を重点事項として要望。会合に出席した54名の議員からは、健保連の重点要望に賛同する発言が相次ぎ、総会における意見を取り入れた議連としての「要望」をまとめ、近く政府に申し入れることとした。

会合の冒頭あいさつした鈴木会長は、政府が今夏を目途に取りまとめる「骨太の方針2022」や「令和5年度政府予算概算要求」に向けて、「何と言っても、われわれの問題意識は健保組合の財政状況にある」と言及した。

少子高齢化の進展で、現役世代が負担する高齢者への拠出金は年々厳しさを増し、保険料率を引き上げざるを得ないが、協会けんぽの平均保険料率10%超が解散を判断する指標となり、多くの健保組合が協会けんぽに移行している状況だと指摘。

昨年、改正健保法が成立し、今年の10月から一定所得以上の後期高齢者の窓口2割負担が導入されることに触れ、「こうした改革をこれからも考え、健保組合をしっかり守っていく必要がある」と強調した。

続いて説明に立った佐野副会長は、健保組合の財政構造の問題点として、▽支出の半分近くは高齢者への仕送り、本来の社会保険の役割である加入者への給付は半分程度▽拠出金負担の増大により、保険料率の引き上げが行われ、保健事業も圧迫▽団塊世代の全員が75歳になる2025年に向けて状況はより深刻化─と訴えた。

また、保険料収入の伸びを上回る拠出金等の負担の伸びが、健保財政を圧迫している要因であると説明した。

さらに、令和4年度における拠出金の減少は、コロナ禍による前々年度(令和2年度)の医療費減に伴う一時的な現象と指摘したうえで、すでに医療費の伸びは回復しており、5年度以降の拠出金負担は大きく反転、急増すると述べ、強い危機感を表明。

そのうえで、「骨太の方針2022」と「令和5年度政府予算概算要求」に向けた健保組合・健保連の重点政策として、①コロナ禍を踏まえた国民が安心できる安全で効率的な医療の実現②現役世代の負担軽減と世代間の公平性確保(全世代で支え合う医療保険制度の構築)③健康寿命の延伸に向けた保健事業のさらなる推進④健保組合の運営安定化に向けた当面の取り組み─を要望した。

このうち、①は、全国民に「かかりつけ医」を推進するための制度構築に向け、まずは機能を明確化し、国民が自ら選べる環境を整備。外来医療の機能分化・連携を強化する。

合わせて、地域医療構想を着実に推進し、感染症対応を踏まえた医療計画と連動して将来の医療需要を見据えた入院医療体制を整備する。

他方、多様な医療・健康情報を行政、医療機関、国民等がいっそう利活用していくために、国が基盤となる情報プラットフォームを整備・運用することが必要とした。

②は、国民皆保険制度の持続性を確保する観点から、▽後期高齢者の保険料負担割合の見直し▽後期高齢者の自己負担の見直し▽現役並み所得者への公費投入▽医療費適正化対策の推進─などを提言。

現役世代の保険料負担の伸び抑制や、低所得者を除く後期高齢者の原則2割負担の導入のほか、現役並み所得者の給付費に対する公費投入を要望した。

さらに、④は、団塊世代の後期高齢者入りによる負担増で、健保組合の財政はよりいっそうひっ迫し、解散を検討する組合が続出する恐れがあると懸念。

現役世代の負担軽減と健保組合の安定運営のため、▽高齢者医療拠出金負担増への財政支援の拡充▽コロナの影響で特に財政が厳しい健保組合に対する支援の継続・拡充─が不可欠と強調した。

その後の質疑応答・意見交換では、出席議員から、「国民皆保険制度を守るため、自主自立で運営し、加入者へ保健事業を展開している健保組合に適切な財政支援を考えるべき」、「かかりつけ医の推進や医療提供体制のあり方の見直しは喫緊の課題である」など、健保連の意見を支持する発言が相次いだ。

さらに、「健保組合・健保連の重点要望に賛同する。後期高齢者医療への公費投入など、議連としての要望をまとめ、官邸や厚労省に持ち込んではどうか」との提案があり、鈴木会長はこの日の意見を踏まえた「要望」を議連の成果物にしたいと発言。「要望」は、次回の総会に原案を諮り、議論に供する考えを明らかにした。

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