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健保ニュース 2022年2月中旬号

電子処方箋の運営コスト
河本常務理事 効果出るまで国が負担を

社会保障審議会・医療部会(部会長・永井良三自治医科大学学長)は1月31日、令和5年1月からの運用開始を予定する電子処方箋の導入について議論した。

厚生労働省は、今通常国会に電子処方箋導入のための関連法案を提出する。改正の主な内容は、▽電子処方箋を医師から運営主体である社会保険診療報酬支払基金等を介して薬局に伝達する仕組みとなるので、医師法などを改正し、医師が電子処方箋を支払基金等に提供すれば、患者に交付したものとみなすなどの規定を整備する▽電子処方箋管理業務を支払基金等の業務として法律に新たに位置づける。管理業務にかかる医療保険者の費用負担も規定する▽電子処方箋導入に伴う医療機関、薬局の相互の連携・協力規定を地域医療介護総合確保促進法に設ける─など。

健保連の河本滋史常務理事は、電子処方箋の費用負担について、「開発コストを国が負担することは当然であり、運営コストについては効果に見合った負担でなければならない。そのためには、一定程度定着して一定の効果が出るまでの期間は、体制整備期間と位置づけて国が費用を負担するよう強く要望する」と述べた。

電子処方箋の導入については、薬剤の重複投与などのリスクを抑制する観点から、国民・患者によって大きなメリットがあると意義を認めたうえで、電子処方箋のインフラ基盤となるオンライン資格確認システムを一層普及させる必要性などを強調した。

その他の委員から電子処方箋に肯定的な意見が相次いだ。
 今村聡委員(日本医師会副会長)は、「理念には賛成する」と述べたうえで、不明な点の解消を求めた。「例えば、医師が電子処方箋を発行し、(支払基金等の)電子処方箋管理サービスで重複投与があることを医療機関に返信すると、医療機関はそれを修正して、処方箋を再度発行する。そうなると、1人の患者を診るうえで相当のタイムラグが発生する。現場が効率的に運営できるようしっかり検証してほしい」と要請した。

厚労省は、5年1月の電子処方箋導入後も紙の処方箋との併用が当面続くと説明した。「現場が混乱してはならないので、当面は電子、紙のどちらでも可が続く。ただ、当然ながらいつまでもというわけにはいかないので、普及状況や患者の利用状況を踏まえて進め方を検討したい」と述べた。

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