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健保ニュース 2021年12月中旬号

医療保険・医療両部会
診療報酬 4年度改定基本方針を決定
医療資源を効率的・重点的に配分

社会保障審議会の医療保険・医療両部会は9日、それぞれ会合を開き、令和4年度診療報酬改定の基本方針案を大筋で了承。その後、両部会での意見を踏まえて部会長間で最終調整を行い、10日、両部会連名による基本方針を決定した。

4年度改定の基本方針は、①新型コロナウイルス感染症にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築【重点課題】②安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】③患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上─の4項目を柱とし、項目ごとに基本的視点とこれを踏まえた具体的方向の例を示している。

このうち、④は、高齢化や高額医薬品の開発などで医療費の増大が見込まれるなか、国民皆保険を維持するため、医療資源を効率的・重点的に配分する観点を基本的視点とした。

具体的に医薬品の適正使用を推進する方向性が示され、重複投薬、ポリファーマシー、残薬、長期処方のあり方への対応や一定期間内に処方箋を反復利用できる方策を検討課題とした。また、ОTC類似薬の保険給付範囲の見直しなど薬剤給付の適正化の検討に加え、「医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方を推進」と明記した。

このほか、5年度末まで全都道府県で後発医薬品数量シェア80%以上とする目標達成に向けた取り組みの推進と合わせて、バイオ後続品の使用促進策を検討する。

医薬品や医療機器の関係は、費用対効果評価制度の活用による適正な価格設定、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を実施。外来医療では、外来機能報告の導入や医療資源を重点的に活用する外来の明確化にもとづき、紹介状なしの患者にかかる受診時定額制度の見直しを含め、機能の明確化・連携を推進する。

①では、かかりつけ医機能に関して、複数慢性疾患の患者への総合的・継続的な診療とともに、療養上の指導、服薬管理、健康管理等を実施するなど、個別の疾患だけでなく、「患者の療養環境や希望にも配慮した診療」が行われるよう評価する方向が示された。

②では、11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護職員の収入引き上げのための対応を検討するなどが盛り込まれた。

③では、ICTの利活用・デジタル化への対応として、▽初診を含めたオンライン診療について、患者ニーズを踏まえた適切な普及・促進を図るなかで、安全性と信頼性の確保を前提に適切に評価▽オンライン服薬指導についても同様に、医薬品医療機器等法にもとづくルールの見直しを踏まえ適切に評価─などの方向を示した。このほか、質の高いリハビリテーションなどアウトカムにも着目した評価などを推進する。

佐野副会長
効率・効果的な提供体制へ
メリハリある改定が必要

健保連の佐野雅宏副会長は、患者ニーズを踏まえたかかりつけ医機能の評価とするなど、前回1日の医療保険部会の会合で基本方針骨子案に対し修正を求めた意見が概ね今回の基本方針案に反映されたと評価し、「基本方針案に異論はない」と述べた。

総括的なコメントとして、新興感染症にも強い効率的・効果的な医療提供を構築するため、「配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定」とする必要性を強調した。今後、中央社会保険医療協議会で基本方針や改定率の決定を踏まえた具体的な配分論議が展開されることに言及したうえで、「入院、外来などにおいて、コロナ禍の教訓を踏まえて評価のメリハリをつけるなど、国民・患者の納得が得られる議論をするようお願いする」と述べた。

また、来年10月以降を見据えた看護職員の収入引き上げについては、仮に診療報酬で対応する場合、確実に賃金アップとなるよう「実効性ある対応」を求めるとともに、事後の効果検証の仕組みを構築すべきと主張した。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、診療報酬対応だと保険者負担や患者負担に影響すると指摘し、厚労省に早期に収入引き上げのスキームを示すとともに、国民・患者への丁寧な説明を要請した。佐野副会長と同様、実効性ある対応と事後検証の必要性も指摘した。

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